国連安保理、ガザ情勢をめぐり緊急会合 住民保護を求める声
(CNN) 国連安全保障理事会は30日、パレスチナ自治区ガザ地区の情勢を協議する緊急会合を開いた。イスラエルがガザ地区への地上作戦を拡大していることを受けて、住民の保護を求める声が相次いだ。
パレスチナ自治政府のマリキ外相は、ガザ住民が「連日連夜、死の恐怖に直面している」と指摘。住民を「人間」として扱い、保護する必要があると述べた。「片面だけを見て、この悲劇を完全に無視するわけにはいかない」とも強調した。
マリキ氏は、これまでにガザ住民の半数以上が家を失ったり、追われたりしていると述べ、「住民らは複数の家や病院と教会の間、モスク(イスラム教礼拝所)と国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)運営の学校との間を行き来し、車中や路上で眠り、それでも行った先で殺害されている」と訴えた。
そのうえで、安保理が行動を起こしていないことを非難し、「あと何日待つつもりだ」と問い掛けた。
安保理は流血を終わらせる責任を果たす必要があるとして、人道的休戦の決議を採択した国連総会の例にならうべきだと主張した。
米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は会合で、国籍にかかわらず、すべての民間人の命を守ることが重要だと演説した。
同氏はガザ地区でUNRWAのスタッフ60人以上が死亡したことを認め、支援要員やジャーナリストらの命を守らなければならないと述べた。
自治区ヨルダン川西岸地区で民間人の死者が増えていることにも深い懸念を示し、イスラエル軍にこうした攻撃を抑えるよう求めた。
同氏はまた、ガザ地区への人道支援を迅速化、強化するよう訴えた。人道目的で戦闘を一時的に停止する必要があるとの立場から、米国が先週提出した決議案が否決されたことに改めて失望を表明した。
一方で、国連総会の決議にハマスへの非難が明記されなかったことを批判し、安保理では「強力でバランスの取れた」決議の採択に努めるとの考えを示した。
ガザ地区への物資搬入をめぐっては、グリフィス人道問題担当事務次長兼緊急援助調整官に代わって演説した国連人道問題調整事務所(OCHA)の責任者が、イスラエルとガザ地区の境界にあるケレム・シャロム検問所の開放を求めた。
同責任者はまた、ガザ地区に燃料が届かなければ病院の発電機が止まり、人命が維持できなくなるなどと訴えて、イスラエル、ハマスの双方に人道的休戦への同意を求めた。
UNRWAのラザリーニ事務局長は、この3週間あまりで国連の支援要員少なくとも64人が死亡したと報告。これだけ短期間の死者としては前例のない人数だと述べた。
ラザリーニ氏はまた、ガザ住民全体をハマスとみなす風潮は危険だと訴えた。さらに、暴力がガザの外にも広がり、ヨルダン川西岸や東エルサレムでも死者が出ていることを深く懸念すると述べた。