「バイ・アメリカン」政策の行方は<3> 米国に戻る可能性のある産業は
ニューヨーク(CNNMoney) チャン・ユー氏は、男性用水着ブランド「NoNetz」を展開するキャシー・パラギオ氏が水着を製造しているブルックリンに工場を所有している。ユー氏は35年間、衣料品の製造に従事してきたが、ニューヨーク市が最低賃金を引き上げた時、事業の継続に懸念を抱いた。現在ニューヨーク市では、11人以上の従業員を抱える企業は、最低でも時給11ドルの賃金の支払いが義務付けられており、さらに2018年末には15ドルに引き上げられる。
「中国では時給はわずか2ドルか3ドル程度だ。その中国ですら、人件費は高すぎる水準に達しつつあり、小売業者はバングラデシュなど、より人件費の安い国々に拠点を移している」とユー氏は語る。
ユー氏の工場は現在も多忙だが、受注するのは300点以下の小口注文ばかりで、顧客の大半はNoNetzのような中小企業だ。一般にこれらの企業はある程度の規模になると、生産拠点を海外に移す。
「米国製品は品質が優れていると思われているが、それは間違いだ」とユー氏は率直に語る。「製品の品質は、機械と労働者の質次第だ」
トランプ大統領が製造業の雇用は言うまでもなく、製造業自体を米国に呼び戻せるか否かについては多くの議論がある。雇用の大部分とは言わないまでも、その一部はロボットや自動化によっても奪われているからだ。
ボールステイト大学によると、失われた製造業の雇用の88%は自動化によるものだ。
専門家らは、製造業を米国に呼び戻すには米国製品の購入を促すだけでは不十分と指摘する。