ワクチン拒む職員は解雇、病院の主張認める 米連邦地裁
(CNN) 米テキサス州ヒューストンの病院に勤務する職員が、雇用条件として新型コロナウイルスのワクチン接種を義務付ける措置に反対し、病院を相手取って起こした裁判で、米連邦地裁は職員側の訴えを退ける判決を言い渡した。
この裁判は、ヒューストン・メソジスト病院に勤務するジェニファー・ブリッジェズ氏と同氏の同僚116人が原告となり、病院によるワクチン接種の義務付けを阻止するよう求めていた。米連邦地裁のリン・ヒューズ裁判官は12日、病院側の主張を認め、原告側の訴えを棄却した。
原告側は、米国で使われている新型コロナウイルスのワクチンについて「実験的で危険性が高い」と主張。接種拒否を理由とする解雇は不当だと訴えていた。
これに対して病院側は、原告側の主張は事実に反するだけでなく、テキサス州の法律で労働者が解雇を免れることができるのは、刑事罰の対象となる罪を犯すことを拒んだ場合に限られると反論していた。
ワクチン接種は不法行為ではなく、刑事罰の対象にもならない。
判決では、解雇の脅しは「ホロコースト時代の人体実験強要」に等しいとしたブリッジェズ氏の訴えについて「非難すべき」主張と形容し、ブリッジェズ氏は接種を強要されているわけではないと指摘。「メソジスト病院は、新型コロナに感染させることなく生命を救うという仕事をしようとしている」「それはスタッフや患者、その家族の安全を守るための選択であり、ブリッジェズ氏は新型コロナのワクチンを受け入れるか拒むかを自由に選択できる。ただし拒んだ場合は単純に別の場所で働く必要がある」とした。
これに対して原告側の弁護士は、「人間モルモットになることに同意するかどうかを雇用の条件とすべきではない」と強調、判決を不服として控訴する見通しを明らかにした。
裁判所はこれに先立ち、ワクチン接種を拒んだ職員の停職処分に対する差し止め命令を求めた原告側の訴えも退けていた。
ヒューズ裁判官は「職員116人のワクチンに関する嗜好(しこう)を守ることよりも、パンデミックの間に患者の診療ができる病院をもつことの公共の利益の方が、はるかに大きい」と述べ、「原告は自分自身の健康を危険にさらしているだけでなく、医師や看護師、助手、患者、その家族の健康をも危険にさらしている」と断じた。
米雇用機会均等委員会は昨年12月、職場に戻る従業員や新規に採用する従業員に対し、企業は合法的にワクチン接種を義務付けることができるとする見解を発表していた。ただし、宗教上の理由や障害を理由とする例外は認める必要があるとした。