東京が「世界一の美食都市」になった理由は?
バージリオ・マルティネス氏(リマ「セントラル」)
ペルーの首都リマにレストラン「セントラル」を持つバージリオ・マルティネス氏。同店は2015年の「世界のベストレストラン50」で4位に入った。東京を定期的に訪れるというマルティネス氏は、日本人シェフの並外れた集中力と献身的な姿勢に注目する。
「日本にはすべてがあり、人々は最高の食材を味わうことができる」「野菜が美しい。また技量もある。東京のレストランに行って魚をさばく美しい技術を見たが、伝統に対する尊敬の念に根ざしており、食事客に自信に満ちたメッセージを送っている」
マルティネス氏はまた、シェフがみな熱心であることも指摘。「料理人は自分の技術に対して本当に情熱的」「毎日毎日、一つのことだけをやっている職人がいる。自分にとってはそれが完成形。ミシュランが東京に多くの星をつける理由だ」と述べる。
橋本憲一氏(京都「梁山泊」)
橋本憲一氏は、京都の懐石料理を専門とするシェフ。独学で料理を学んだ。「梁山泊」は2009年以来、ミシュランで二つ星を獲得してきた。著書も5冊あり、伝統的な日本の料理法に関する専門家として海外に広く知られている。
橋本氏は、この10年間でヘルシーな料理への需要が増えてきて、日本料理はこの流れに完璧に合致すると言及。日本食が人気なのはそれが一つの理由かもしれないと語る。
また日本の食材の季節感も重要だとも指摘。春夏秋冬と世界クラスの材料が手に入るのは幸運で、それを反映してメニューが変わるという。料理人の多くは30年あまりの経験を積んでおり、大半が特定のタイプの料理に特化し、ときには「ある1皿を専門とする料理人もいる」と橋本氏。料理人は自身の持つ特有のタッチを食材に加えるが、ミシュランで二つ星や三つ星を獲得する店が本当に優れているのはその部分だという。