イラン伝統のじゅうたん産業、米制裁で大打撃の恐れ
ロンドン(CNNMoney) トランプ米政権がイランとの核合意から離脱し経済制裁を今年8月にも再発動する構えを見せる中で、イランを代表する輸出品の1つであるじゅうたん産業が大きな打撃を受ける恐れが出て来た。
同業界は熟練技術を持つ数十万人単位の織り手を抱え、その輸出額は数億米ドル単位に達する重要産業。制裁の再発動で産業基盤が崩れかねない懸念も生じている。
英国のシンクタンク「王立国際問題研究所」の北アフリカ・中東担当の研究員はイランにおけるじゅうたん産業の重みは大きいとし、地元の雇用にも重大な影響力を持つとした。
オバマ前米大統領が2016年、イランへの経済制裁を解除した後、じゅうたん輸出は急激に伸びた。イラン国立のじゅうたん産業センターによると、昨年3月から今年1月までの輸出実績は3億3600万米ドル相当。最大の輸出国は米国だった。
イラン南部シラーズで父親創業のじゅうたん店を引き継いだレザ・ゾランバリ氏は業界の行方をにらみ、雇っている約5000人の織り手の半分は他の生計手段を見付けなければならない羽目に陥るとの事態も予想。これら職人の間に将来への不安が広がっていると指摘した。
家族6世代にわたってじゅうたんを製造し続けてきたゾランバリ氏は8年前の国連決議による制裁発動時の商売上の痛手を身に染みて知っており、米国の制裁再発動による結末は予測出来るとした。
同氏によると、2010年までの米国向けじゅうたんの生産量は毎年3500平方メートル相当。事業の20%分に当たり、1平方メートル当たり521ドルのコストで十分な収益が見込めたという。