食品スーパー、客の入店禁止に踏み切るべき時か
ニューヨーク(CNN Business) マスクを着け、体温を測り、入店制限などの安全対策を講じているにもかかわらず、新型コロナウイルスに感染して死亡する食料品店の店員が後を絶たない。それでもスーパーマーケットはこれまでのところ、客の入店を禁止するという強硬策に対して抵抗を続けてきた。
しかし、専門家や組合、小規模商店の経営者などからは、客を入店させて店員に至近距離で接客させるのは危険すぎるという声が出始めている。食品店の店内が客であふれ返る状態が続く中、専門家は大手チェーン店に対し、客の入店を禁止して、食品や生活必需品は店の前で受け取るか自宅に届ける方式に切り替えるよう促している。
全米食品商業労働組合(UFCW)代表のマーク・ペローネ氏は、店員を脅かす「最大の脅威」は不注意な客かもしれないと指摘した。食品店で働く組合員を対象に実施した実態調査では、客が店内で他人との距離を置くソーシャル・ディスタンシングを守っていないという回答が85%に上った。
サンフランシスコ州立大学のジョン・ローガン教授は、「店を閉め、店頭での受け渡しと配達のみの業態へと切り替えれば前向きな一歩になる」と提言する。
小規模食品店の多くは、従業員を守るためにそうした方式に切り替えている。大手の中でもオンラインインフラが整ったベストバイなどは、この方式に切り替えた。
公衆衛生当局は、生活必需品を扱う商店の閉鎖までは求めていない。しかし米労働省は先週の時点で小売業者に対し、従業員を新型コロナウイルスから守るため、ドライブスルー方式や店の前での受け渡し方式を使うよう勧告していた。カリフォルニア州産業関係局はこのほど事業者に対し、買い物客にはオンライン注文やピックアップを促すよう求めた。
大手スーパーも徐々にこの方向へと動きつつある。ホールフーズはニューヨーク市内の1店舗を閉鎖し、注文をインターネットのみで受け付けて配達する業態へと切り替えた。クローガーやジャイアントイーグルも数店で、店頭での受け取りと配達のみの業態へと切り替えている。
ただ、そうした切り替えに踏み切った店はごく一部にとどまる。多くの地域では、客からの注文が殺到してシステムがパンク状態に陥っている。