事故起こしたボーイング機の工場作業員、苛烈な勤務実態を証言 「我々はゴキブリ」
ワシントン(CNN) 今年1月に飛行中の機体からドアプラグが吹き飛ぶ事故が発生した米航空機大手ボーイング「737MAX」の製造に携わった作業員らが、米国家運輸安全委員会(NTSB)による聴き取り調査に参加し、勤務の実態について明らかにした。6日に公開された証言内容からは、迅速な作業を要求される現場の圧力の中、ミスが必然的に生じかねない状況だったことが示唆される。
NTSBの調査員らはボーイングの作業員に対し、同社の安全にまつわる問題について質問。それが同社の機体を利用する乗客にとって何を意味し得るかを尋ねた。
NTSBは以前、ドアプラグが吹き飛んだ機体について、必要なボルト4本を装着しないまま工場を後にしたと述べていた。
聴き取り調査は事故後の7カ月をかけて行われた。名前を伏せたある作業員は、工場での作業量が膨大でミスを防げないと主張。過度に迅速な作業を目指すため、事故機を扱っていた際も多忙な状況だったと振り返った。
737MAXの胴体は、スピリット・エアロシステムズが製造してボーイングに供給している。ボーイングの工場にはスピリットの従業員も作業しているが、聴き取り調査の記録によれば、彼らとボーイングの従業員との意思疎通はうまくいっていなかったという。
身元を明かさないスピリットの従業員は、NTSBの調査員に対し、「基本的に、我々は工場のゴキブリだ」と語った。
また工場の指揮を担うボーイング側の従業員も、調査員に対し、従業員のモラルの低さや離職率の高さといった問題が存在するのを認めた。離職率が高いのは過重労働によるストレスに起因する可能性があるという。
事故につながった作業ミスについては、刑事訴追に発展する可能性もある。米連邦捜査局(FBI)は既に、当該の機体の乗客と乗務員に対し、刑事事件の被害者として扱う可能性があると通知している。