超新星残骸を取り巻く雲、NASAの最新衛星が撮影
今回公開された画像には、NASAのチャンドラX線観測衛星がかつて捉えたX線データも青色で示されている。チャンドラは1999年に打ち上げられ、すぐにカシオペヤ座Aを対象として設定。超新星残骸の中心にブラックホールもしくは中性子星が存在することを明らかにした。ブラックホールや高密度の中性子星はしばしば、恒星の死という激烈な出来事により生み出される。
米アラバマ州ハンツビルにあるNASAのマーシャル宇宙飛行センターを拠点とし、IXPEの主任研究員を務めるマーティン・ワイスコフ氏は声明で、「IXPEによるカシオペヤ座Aの画像は、チャンドラによる同じ超新星残骸の画像と同じように歴史的なものだ」と指摘。「これはIXPEが持つ、カシオペヤ座Aについての新たな、そして目にしたことがない情報を入手する潜在能力を示すものだ」と述べた。
IXPEはしばしば見逃されてきた、偏光と呼ばれる宇宙線源の様相を捉えることが出来る。光は光子を散乱させるものを通過する際に偏光する。そしてあらゆる偏光は、宇宙線源やその進路に関する固有の痕跡を携えている。非偏光はあらゆる方向に振動するものの、偏光は一定方向においてのみ振動する。
IXPEが収集したカシオペヤ座Aのデータは、10光年の幅がある残骸の中で偏光がどのように変化しているかについて、科学者の測定を手助けするものとなり得る。
IXPEをX線の偏光研究に活用することで、ブラックホールや中性子星といった、爆発した恒星の残骸やその環境、X線が生まれた方法についての理解が進む可能性がある。宇宙に存在する並外れた物体に関するこうした視点はさらに、物理学についてのより大きな基礎的な問題への答えを明らかにし得るという。