膨大なCO2排出源、コンクリートを環境に優しくする取り組み

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マングローブ保護区で塩水を調べるケマル・セリク氏=アブダビ/CNN

マングローブ保護区で塩水を調べるケマル・セリク氏=アブダビ/CNN

塩水からセメントを作る

アラブ首長国連邦(UAE)では、コンクリートのカーボンフットプリントを削減しつつ、別の環境問題の対策にもなるような方法が研究されている。

UAEでは海水を脱塩化することで飲料水の大半を賄っているが、副産物として塩水――鹹水(かんすい)とも呼ばれる――が生成される。ポンプで海に戻しているため海の塩分濃度が上がり、海洋生物にとっては有害になりかねない。

土木と都市工学を専門とするニューヨーク大学アブダビ校のケマル・セリク助教は、高濃度マグネシウムをはじめとする有益な鉱物が鹹水に含まれていることを発見した。

「具体的には、脱塩工場から廃棄された鹹水を使って、ごく簡単な化学反応を起こしている」。セリク氏のチームは鹹水を固体と液体に分離した後、マグネシウム成分からセメントを製造する方法を開発した。

「マグネシウム由来のセメントは新しいものではない。だが炭酸マグネシウムの調達源といえば、鉱山業が一般的だ」とセリク氏は説明する。従来のマグネシウム由来のセメントは加熱作業が必要なため、二酸化炭素が発生する。だが鹹水からセメントを製造すればコストパフォーマンスもよく、環境にも優しいとセリク氏は続けた。

研究はまだ概念実証段階で、1日に4000~5000リットルの鹹水で扱っているという。だがセリク氏は製造規模を拡大して、建設業での実用を可能にしたいと考えている。

「一番の難関は業界そのものだ」とセリク氏は説明する。「建設業はとくに歴史が古い業界で、既存の資材をあまり変えたがらないところがある。そういう意味で、業界や世間に認知を広めていかなくては」

だがセリク氏は難関に挑む決心を固めている。「研究者である我々は社会に奉仕しなければならない。だからこそ、気候変動対策でほんの少しでも世界に役に立つような研究に、ここまで没頭しているのだ」

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