飼い主が自動車事故、愛犬が助け求めて6キロ先の友人発見 米オレゴン州
(CNN) 車で谷底に転落して動けなくなった男性の飼い犬が、米オレゴン州の現場から6キロ以上離れた場所にいた男性の友人を探し出して急を告げ、救助に貢献する出来事があった。
森へキャンプに訪れたトロイ・ミルホリンさん(46)は、友人ブランドン・ギャレットさん(60)の愛犬「ブルー」が鼻に傷を負った姿で現れたのを見て、異常を察知した。一緒だったはずのギャレットさんはいなかった。
2人は今月2日、森の中でキャンプする予定で別々の車でオレゴン州ハーフウェーから同地を訪れた。毎年夏になるとこの場所でキャンプするのが恒例だった。
ギャレットさんが運転する車は、ミルホリンさんの車の後ろを走っていた。ブルーの鼻の傷が切り傷だったことに気付いたミルホリンさんは、街へ引き返すことにした。
しかし街でギャレットさんを見かけた人はいなかった。友人にも連絡して探してもらったが、朝になってもギャレットさんは見つからなかった。
連絡を受けたギャレットさんの弟のタイリーさんは、この一帯を流れる小川で道路から見えない場所が2カ所あることを知っていた。
その場所を確認したところ、ギャレットさんが運転していたピックアップトラックを発見。「けがをして横たわっている犬が見え、兄の名を呼び続けたが、返事はなかった」とタイリーさんは振り返る。
その場所は携帯電話がつながらなかったことから、タイリーさんは現場を離れて助けを呼んだ。
あとになって分かったことだが、ブルーはこの現場から6.4キロ以上離れた場所までたどり着き、ミルホリンさんを見つけて異変を知らせていた。
その間ギャレットさんは、谷底で助けを待って夜を明かしていた。
運転中に眠気に襲われたというギャレットさんは、「キャンプにたどり着けると思ったけれどダメだった」とCNNに語った。
角を曲がろうとして運転を誤り、トラックは崖から転落。フロントガラスを突き破って谷底に投げ出されたギャレットさんは、ほとんど身動きできないまま、横転したトラックにもたれかかって意識を失った。
意識が戻ると大雨が降っていた。腰まで水に浸かっていることに気付いたギャレットさんは、安全な場所へはい戻った。
ブルーの姿は見えなかった。一緒にいてくれた残る3匹の犬もけがをしていた。
「何とか助かりたいと思っていたけれど、この時点でそれはかないそうになかった。私は道路から見えない場所にいた」(ギャレットさん)
3日午前9時半ごろ、オレゴン州ベイカー郡保安官事務所に弟のタイリーさんから連絡が入り、捜索救助隊が出動した。
現場に到着した捜索隊は、谷底で横倒しになっていた車を発見。ギャレットさんの声を聞き付けた保安官は、90メートルほど離れた場所で、ギャレットさんと3匹の犬を発見した。
ギャレットさんはその場で応急処置を受けて谷底から引き上げられ、空路病院に搬送された。
足の骨折や切り傷を負っており、今は自宅で回復に向かっているという。
4匹の犬のうち、ブルーを含む3匹も自宅に戻った。しかし残る1匹はまだ動物病院で手当てを受けている。
ブルーはピットブルテリアとオーストラリアン・シェパード、ウィペットなどのミックス犬。ギャレットさんは、よく犬たちを連れて森に出かけているという。特にブルーはこの一帯をよく知っていて、森の中でギャレットさんを見つけたり、帰り道を見つけたり、ミルホリンさんの自宅まで案内したりもできるという。
「彼らは素晴らしい方向感覚を持っていて、本当に賢い」と話すギャレットさん。愛犬たちを「私の親友」と形容している。