米国の10代、プロテインサプリメントを摂取しすぎ? 専門家から懸念の声
(CNN) たんぱく質の摂取量を増やしたい人にとって、外出先でプロテインのシェーカーやバー、パウダーなどのサプリメントを摂取するのは手軽な解決策に思えるだろう。しかし、10代の若者については小児科医の間で、サプリメント依存の可能性を懸念する声が出ている。
21日に発表されたC・S・モット小児病院の新たな全国調査によると、保護者の5人に2人は、10代の子どもが過去1年の間にプロテインサプリメントを摂取したことがあると回答した。サプリメントを毎日、あるいはほぼ毎日摂取する傾向は10代の女子よりも男子の方が強かった。
過去1年の間にプロテインサプリメントを摂取したという46%の男子のうち、半数以上の親は筋肉増強が目的だと回答。サプリメントを摂取した36%の女子の親は、ダイエットや多忙時の食事代わりにプロテインサプリメントを利用したと答えた。親の5人に1人は、10代の子どもが十分なたんぱく質を摂取していないとの見方を示している。
ミシガン大学の小児科研究者でモット小児病院の調査を統括するサラ・クラーク氏はメールで「マーケティングのせいでプロテインの含有量が増えればその分、製品が健康的になると思い込む人がいるが、それは必ずしも真実ではない」と指摘。「保護者や10代の子どもはむしろ、一定のたんぱく質に加えて他の主要栄養素や繊維も含有する一方で、砂糖やカフェインは少量(またはゼロ)に抑えた、よりバランスの取れた製品に目を向けるべきだ」と説明した。
モット小児病院の調査は8月、13~17歳の子どもを持つ保護者989人を対象に実施された。誤差の範囲はプラスマイナス1~7パーセントポイント。
保護者の44%は、自分や他の家族が10代の子どもにプロテインサプリメントの摂取を促したことがあると答えた。特に、子どもが体を鍛えることやダイエット、美容、スポーツ能力の向上、健康に関心を示した場合に、サプリメント摂取を勧めるケースが多かった。
しかしクラーク氏によれば、プロテインサプリメントの摂取ではこうした問題の解決策にならない可能性がある。たんぱく質は健康な食事の一部ではあるものの、摂取については個々人の全般的な食生活を踏まえて検討すべきだという。
10代の若者はサプリメントを摂取すべき?
10代の若者がプロテインを摂取することが推奨されるケースはめったにない。そう話すのはクリーブランド小児病院の小児栄養士、ディアナ・シュネー氏だ。シュネー氏はモット小児病院の調査に関与していない。
推奨される栄養所要量によると、14~18歳の女子は通常、1日46グラムのたんぱく質が必要で、同年代の男子は1日52グラムが必要とされる。
米国栄養・食事療法学会によると、プロテインサプリメントの利用はたんぱく質の過剰摂取を招き、脱水を引き起こしたり腎臓に負担をかけたりする恐れがある。米食品医薬品局(FDA)は市場投入前のプロテインパウダーについては検査しておらず、利用者が興奮剤などの他の物質にさらされる可能性もあるという。
FDAは一般的に、サプリメントを食事として規制しており、公式サイトによると「不純物や虚偽表示があったとしても、市場に出回った後に」対策を講じる権限しか持たない。
10代の若者が3食や間食でたんぱく質を摂取していれば、摂取量はそれで十分な可能性が高い。プロテインサプリメントの使用が正当化されるケースはめったに無く、ベジタリアンやビーガン(完全菜食主義者)など厳格な食生活を送る特定の若者にしか推奨されないかもしれないと、シュネー氏は言い添えた。