中国国営TV、アーセナル戦の放送中止 所属選手によるウイグル関連発言受け
(CNN) 中国の国営テレビは15日、予定していた英イングランド・プレミアリーグのアーセナル対マンチェスター・シティー(マンC)の試合の放送を中止した。これに先立ち、アーセナルに所属する元ドイツ代表のミッドフィルダー、メスト・エジル選手はソーシャルメディア上で中国の少数民族ウイグル族を支持するコメントを投稿していた。
イスラム教徒が大半を占めるウイグル族について、米国務省は中国当局が過去2年半で最大200万人を拘束したとの見解を示している。一部からはこれらのウイグル族の収容施設を捕虜収容所と形容する声も上がっていた。
自身もイスラム教徒であるエジル選手は、ツイッターとインスタグラムの両方にコメントを投稿。「(中国では)イスラム教の聖典コーランが焼かれ、モスク(イスラム教礼拝所)は閉鎖された。イスラム教の教義を学ぶ施設も運営が許されない状況で、宗教学者は一人ずつ殺されてきた。これだけのことが起きているにもかかわらず、イスラム教徒は口を閉ざしている」と訴えた。
国営中国中央テレビ(CCTV)は当初、上記の試合を同局のスポーツ専門チャンネルで現地時間の16日午前0時30分から生中継する予定だった。リーグの上位争いを左右する試合を突如中止した判断について、CNNはCCTVにコメントを求めたが回答は得られていない。
中国最大のオンラインテレビサービス「PPTV」も予定していた同試合の配信を中止。スポーツ情報サイトの「シナ・スポーツ」は、中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」への投稿で「エジルの発言は中国国内のファンを怒らせた。著名なスポーツ選手だからといって、国益にかかわる問題にコメントする権利を有することにはならない。彼は自らの行いについて説明する必要がある」と指摘した。
エジル選手はマンC戦のスタメンに名を連ねた/Jan Kruger/Getty Images Europe/Getty Images
一方、アーセナルはCNNへの声明で、「クラブとして、政治からは常に距離を置いている」としたうえで、エジル選手のコメントはあくまでも同選手の「個人的な見解だということを明確にしなくてはならない」と強調した。
試合は昨季王者のマンCがホームのアーセナルを3-0で下し、リーグ3位の座をキープした。