髪を隠さず大会に出場 イラン女子選手、懸念される中帰国
(CNN) 韓国で開催されたスポーツクライミングのアジア選手権に、イランの女子選手が髪を隠すスカーフ「ヒジャブ」を着けずに出場した。女性にヒジャブ着用を義務付ける当局の対応が心配されるなか、選手は19日に帰国したことが分かった。
イラン代表のエルナズ・レカビさん(33)は16日の大会で髪を後ろに束ね、ヘアバンドをして競技に臨む場面の動画がSNS上で拡散して注目を集めた。
国営イラン通信(IRNA)によると、本人は19日の朝早く首都テヘランに戻った。SNSに投稿された動画には、空港に到着し、報道陣と話す姿が映っている。空港内や周囲に集まった市民らが、レカビさんを「英雄」と呼ぶ様子も見える。
テヘランに到着したレカビさん。ツイッター上の動画からのスクリーンショット/Twitter @SadeghiAmid
レカビさんが当局の拘束下にあるのかどうか、罰を受けるのかどうかは明らかでない。
イランでは先月、ヒジャブ着用の規定違反で拘束された女性が急死した事件をめぐり、全土に抗議デモが広がっている。
レカビさんは18日、インスタグラムへの投稿で、予定していなかった競技への出場を突然求められ、うっかり髪を覆わずに問題を起こしてしまったと説明。心配をかけたことを謝り、予定通りチームのメンバーとともに帰国すると述べていた。
イラン代表のエルナス・レカビさん/Rhea Kang/AP
イラン当局は同国の代表として外国のスポーツ大会に出場する女子選手に対し、ヒジャブの着用を義務付けている。
イラン反体制派のメディアや人権団体は、レカビさんが帰国を強制されたり、拘束されて拷問を受けたりする事態を心配してきた。レカビさんがインスタ投稿の前に丸1日、音信不通となっていたことから、すでに当局からの圧力が始まっているとみる声も上がった。