パリ五輪の公式車両にトヨタの「ミライ」、学者や技術者が撤回要求

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トヨタのショールームに展示された水素で走る「ミライ」=愛知県豊田市/Akio Kon/Bloomberg/Getty Images

トヨタのショールームに展示された水素で走る「ミライ」=愛知県豊田市/Akio Kon/Bloomberg/Getty Images

(CNN) トヨタ自動車の燃料電池車「ミライ」がパリオリンピックの公式車両に採用されたことに対し、学者や技術者など120人が連名で、撤回を求める公開書簡を発表した。

水素で走る車は排気筒からは二酸化炭素を排出しない。しかし世界の水素の96%は今もメタンガスなどの化石燃料から製造されている。つまり、水素自動車のほとんどはバッテリー式の電気自動車(EV)に比べて汚染度が高く、従来のエンジン車よりも多少クリーンな程度にすぎない。

トヨタはパリ大会にミライ500台と水素で走るバス10台、EV車1150台を提供予定。ミライは水と有機化合物から抽出し、再生可能資源で生成した水素で走らせると説明している。

それでも公開書簡では、消費者が購入するミライには、地球温暖化の原因となる化石燃料から製造された水素がほぼ間違いなく使われるのが現実だと訴えている。

「トヨタの水素車の宣伝は、実質ゼロとは科学的にそぐわず、2024年大会の評判を傷つける」。そう懸念を表明した公開書簡には、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、コロラド大学といった名門校の科学者や技術者が署名。「ルート変更のチャンスはまだ残っている。トヨタに対し、大会公式車両をミライからバッテリー電気自動車(BEV)に入れ替えるよう促すことを求める」とした。

パリオリンピックは「史上最もグリーンな大会」を掲げ、温暖化ガスの実質排出量を10年代に比べて半分に減らすことを目標としている。

トヨタモーターヨーロッパはCNNに寄せた声明で、水素燃料車は世界の実質ゼロの未来の中で果たせる役割があると強調。水素車の方が一般的に、燃料を補給することなく移動できる距離が長いと説明している。

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