アイルランドの格闘家、大統領選出馬を表明 反移民の立場打ち出す
(CNN) 総合格闘技の元王者、アイルランドのコナー・マクレガー氏(36)は20日、今年のアイルランド大統領選に出馬する意向を明らかにした。アイルランドの大統領が担うのは主として儀礼的な役割だが、マクレガー氏は反移民の立場を打ち出して選挙戦に臨むとしている。
近年、アイルランドにおける極右の顔として浮上してきたマクレガー氏はソーシャルメディアへの投稿で、新たな欧州連合(EU)の移民協定に異議を唱えるため大統領選に出馬すると述べた。協定は移民申請の手続きの重荷を域内でより平等に分担することを目指している。
460万人以上のフォロワーを抱えるインスタグラムのアカウントには、「他の誰が政府に立ち向かってこの法案に反対するだろうか?」と問いかけるマクレガー氏のコメントが書き込まれている。
同氏は17日、聖パトリックデーに合わせてホワイトハウスを訪問。トランプ米大統領と面会し、移民に反対する見解を表明していた。
この時発したコメントに対しては、アイルランドのマーティン首相が「聖パトリックデーの精神や国民の意見を反映していない」と苦言を呈した。
ここ数年間、マクレガー氏はソーシャルメディアのユーザーたちと議論を戦わせることに注力している。政治アナリストや極右の専門家はCNNの取材に答え、マクレガー氏特有のブランドとなったアイルランドの愛国者像に言及。格闘家として多くの支持者を集めたそのブランドが、今では「極右」思想を帯びたアイルランド国家主義の構成要素へ変質していると分析した。
マクレガー氏は2022年に反移民デモへの支持を表明するなど、これまでも移民反対を声高に唱えてきた。SNSへの投稿は、極右関連グループの間で拡散している。
アイルランドの中央統計局によると、人口500万人強の同国には、23年4月までの1年間で14万1600人の移民が流入した。これは過去16年間で最多。
アイルランド大統領選は今年の11月11日までに実施されることになっている。
インスタグラムへの投稿でマクレガー氏は、大統領に当選すればEUの移民協定法案を国民投票にかけると約束。「私はこの協定に強く反対しているが、選ぶのは私でもなけなければ政府でもない。重要なのはアイルランド国民の選択だ! いつだってそれは変わらない!」と強調した。