移民船の中で赤ちゃん誕生、スペインへ向かう大西洋上
(CNN) アフリカからスペインへ向かう移民を乗せた小型船の中で、女の子の赤ちゃんが産まれる出来事があった。スペインの海上救急サービスが明らかにした。
スペインのカナリア諸島から出発した救急要員らは、ランサローテ島の沖合で空気注入式の小型船と遭遇。船内には女性14人、子ども4人を含む60人の移民が乗っていた。このわずか15分前には、船内で母親が女の子を出産していたとみられる。要員らが地元メディアに明らかにした。
救助船の船長は、6日のこの出来事を「美しい」、「とても感動的」と形容。スペインのテレビ局RTVEの取材に答え、移民船での赤ちゃんの誕生に遭遇したのは今回が初めてではないと語った。2020年には同じような移民船の中で、生まれたばかりの赤ちゃんのへその緒を自身の手で切ったという。
カナリア諸島はアフリカ北西の沖合に浮かぶ七つの島で構成される。スペイン内務省によれば、昨年現地で確認した正式ではない移民活動は17%増加した。欧州連合(EU)の欧州国境沿岸警備機関(フロンテックス)によると、移民の主な出身国はマリやセネガル、モロッコとなっている。
移民の急増は西アフリカ諸国における「治安及び人権状況の悪化」が原因だとフロンテックスは分析する。関連するデータから、アフリカ西岸からのルートは欧州への移民の新たな最前線になっていることが分かるという。
移民の権利を擁護する非政府組織(NGO)、カミナンド・フロンテラスの最近の報告によれば、昨年1月1日から12月5日までの期間、スペインへ向かおうとした移民少なくとも1万457人が死亡または行方不明となっている。このうち9757人は大西洋を渡ろうとしていたという。
赤ちゃんが生まれた移民船に近づくスペインの海上救助隊/Salvamento Maritimo/AP
スペイン内務省は先週の報告で、昨年スペインに入国した「正式ではない移民」は約6万4000人だったと発表。その中の73%がカナリア諸島経由だったと明らかにした。
9日にもカナリア諸島近海では2隻の移民船が救助された。海上救急サービスはX(旧ツイッター)への投稿で、一方に84人、もう一方には「サハラ以南の人々60人」がそれぞれ乗船していたと述べた。