フランス上院(元老院)は30日までに、今年4月15日の火災で尖塔(せんとう)などが大きな損傷を受けたパリのノートルダム大聖堂の再建について、火災前の建物の形状に正確に復元すべきとする法案をまとめた。
同法案が直ちに法律として発効するわけではない。下院(国民議会)との間で法案の内容をすり合わせて合意を得た後に法制化される。
上院の法案では、計画立案や環境、遺産の保護、公的な規制の面などでの制約を政府が覆すことが出来る権限が削除されもした。
大聖堂の修復については火災前の原状回復を望む伝統主義的な意見と一新した大聖堂が建設出来る好機とする主張が対立してもいた。
社会党に所属するイダルゴ・パリ市長は原状回復派で、フィリップ首相は近代建築の要素を加味することへの関心を表明。首相は先月、焼失した尖塔の再建に関して建築家の国際コンペを開く考えも示していた。
再建についてはパリが2024年に主催する夏季五輪に間に合うように工事が終了することが認められる見通し。再建を5年内に完了させたいとのマクロン大統領の意向に沿う計画ともなっている。大統領は4月、大聖堂はより美しくなって復元されるべきだとも主張していた。
5年内の修復については政治的な思惑が絡んでいるとの批判もある。建物修理などの専門家は、約10〜15年要する可能性があるとも判断している。