史上最高額で落札されて話題になったイタリアの巨匠レオナルド・ダビンチの名画「サルバトール・ムンディ」(世界の救世主)が、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビにある美術館「ルーブル・アブダビ」で9月18日から一般に公開される。同美術館がこのほど発表した。
サルバトール・ムンディは、ルネサンス期の服装をまとったイエス・キリストを描いた作品で、昨年11月に米ニューヨークで開かれたオークションで、絵画としては史上最高額の4億5030万ドル(現在のレートで約500億円)で落札されて注目を浴びていた。
この時点では落札者は匿名とされていたが、後にサウジの王子が落札にかかわっていたことが判明。ルーブル・アブダビは昨年12月、同作品を所蔵すると発表した。同美術館で最大の目玉になるのは確実だ。
アブダビ文化観光省は、「個人の手によって長い間失われ、隠されていたレオナルド・ダビンチの名画を今、我々から世界への贈り物とする」と発表した。
サルバトール・ムンディは「モナリザ」と同年代の1500年ごろの作品で、存在が確認されている20枚足らずのダビンチ作品の中の1枚。高さは約66センチ。
18世紀の終わりに行方が分からなくなり、1958年になって発見されたものの、偽物と見なされてわずか60ドルで売り渡された。その後本物だったと分かり、1億2700万ドルでロシアの実業家の手に渡っていた。
昨年のオークション前にはロンドンと香港、サンフランシスコで展示されて大きな注目を集めた。
ルーブル・アブダビは、本家パリのルーブル美術館が初めてフランス国外に進出した美術館で、もう1枚のダビンチ作品「ミラノの貴婦人の肖像」を含め、600点あまりの芸術作品を所蔵している。