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ボッティチェリの「模倣作」、実は本物だった 英文化機関

模倣作ではなくボッティチェリ本人の手による作品と判明した「柘榴(ざくろ)の聖母」

模倣作ではなくボッティチェリ本人の手による作品と判明した「柘榴(ざくろ)の聖母」/English Heritage

巨匠ボッティチェリによる15世紀の傑作「柘榴(ざくろ)の聖母」の模倣作と考えられていた絵画について、画家本人の工房で描かれた作品であることが分かった。英国の文化財保護機関「イングリッシュ・ヘリテージ」が明らかにした。

修復作業を行ったところ、厚いニスの下に隠れていた本当の色彩が明らかになり、ボッティチェリ本人の作品と判明したという。

「柘榴の聖母」は1487年前後の制作とされ、柘榴を手にした聖母マリアと幼いキリストや、それを囲む4人の天使を描いている。柘榴はキリストの将来の受難を象徴している。

修復作業の過程でほこりやニスなどが取り除かれ、本来の色彩が明らかになった/Christopher Ison/English Heritage
修復作業の過程でほこりやニスなどが取り除かれ、本来の色彩が明らかになった/Christopher Ison/English Heritage

オリジナルの絵画はイタリア・フィレンツェのウフィツィ美術館が展示。イングリッシュ・ヘリテージ所有の絵画については、細部の違いや上塗りされた黄色のニスから、専門家の間で模倣作とみられていた。

しかし顔料分析やX線試験、赤外線による調査の結果、フィレンツェにあったボッティチェリの工房で制作された作品との見方に至った。ルネサンス期には人気作を複数のバージョンで制作することが多かった。

イングリッシュ・ヘリテージの保存担当責任者、レイチェル・ターンブル氏は声明で、100年超ぶりにこの絵の詳細な調査や保存作業を行ったと説明。作業開始後すぐに本人の工房の作品と酷似していることに気付いたと明らかにした。

修復作業を行うイングリッシュ・ヘリテージのレイチェル・ターンブル氏/Christopher Ison/English Heritage
修復作業を行うイングリッシュ・ヘリテージのレイチェル・ターンブル氏/Christopher Ison/English Heritage

ビクトリア・アンド・アルバート博物館やナショナル・ギャラリーの専門家にも話を聞き、ボッティチェリの工房の作品と確定したという。

ただ、絵全体がボッティチェリの筆とは限らない。ボッティチェリは注文に対応するため何人も助手を雇っていて、低予算の顧客向けに人気作の縮小版を描かせていた。

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