神出鬼没のアーティスト、バンクシーが、パレスチナ自治区にあるベツレヘムの現状を舞台にイエス・キリスト降誕の場面を再現した新作「ベツレヘムの傷痕」を披露した。
クリスマスを祝っている人たちに、現代のベツレヘムの現実を知ってもらいたいという願いが込められている。
同作品は、巨大なコンクリートの壁の前にイエスが眠る飼い葉おけが置かれ、聖母マリアとヨセフがひざまずく構図。
迫撃弾が貫通してできたと思われる壁の大きな穴は、キリストの生誕を告げたとされる星の形をしている。壁には英語とフランス語で「愛」「平和」と書かれた落書きがある。
バンクシーの新作は「ベツレヘムの傷痕」と名付けられた/Majdi Mohammed/AP
新作は21日、ベツレヘムにあるバンクシーのホテル「ウォールド・オフ・ホテル」で披露された。バンクシーのインスタグラムにも、この作品の写真が掲載されている。
同ホテルのウィサム・サルサ支配人はAFP通信の取材に対し、この作品について「ベツレヘムの物語、クリスマスの物語を違う形で表現した」と指摘、イスラエル軍による占領がパレスチナ人にどんな影響を与えているかについて、人々に考えてもらいたい意向だと話している。
ウォールド・オフ・ホテルはイスラエルとパレスチナの衝突に対して注目を集める目的で、バンクシーが2017年に開業した。
バンクシーは以前からイスラエルに対して批判的で、ガザを含むパレスチナ自治区では、至る所にバンクシーの壁画が描かれている。