米フロリダ州南部のマイアミビーチ沖に、人工魚礁を兼ねた海底美術館「リーフライン」が開設される。
2021年12月に最初の常設作品を含む約1.6キロの区間が開設され、最終的には全長11キロあまりのコンクリート建造物が完成する予定。
ニューヨークの空中公園「ハイライン」のように散策を楽しめるが、こちらは水中なのでシュノーケルを着ける必要がある。
© OMA
プロジェクト責任者のヒメナ・カミノス氏はこの海域にサンゴの増殖を促す人工魚礁が設置される案を聞き、かねて関心があったアートとの融合を思い立ったという。
サンゴ礁は生物多様性の要として知られる。米海洋大気庁(NOAA)によると、海にすむ魚の約4分の1がサンゴ礁に依存している。だが近年、フロリダ州南部沖のサンゴは感染症や、水温上昇の影響とされる白化現象により、かつてない勢いで死滅している。世界最大のサンゴ礁群、豪グレートバリアリーフも、過去30年間に約半分が失われたとの報告がある。
サウスビーチの訪問客はシュノーケルを使って作品を楽しむこともできる/© OMA
リーフラインの設計を担当するのは建築設計集団OMAの重松象平氏と、海洋生物学や海岸工学の専門家チーム。重松氏は最初の造形作品として、コンクリート製のらせん階段も制作する。階段の表面はサンゴ増殖の基盤となり、訪れる人々は中心の空洞部分を泳いで探索することができる。
同氏の作品とともにアルゼンチンの現代美術家、レアンドロ・エルリッヒ氏の作品も公開される。同氏は2019年にマイアミビーチの芸術祭で砂浜に交通渋滞を再現した作品の「海底版」を制作する。
レアンドロ・エルリッヒ氏の作品「Concrete Coral」も12月に公開へ/© Leandro Erlich Studio
次の段階で作品が展示されるアーティストとしては、ブラジルのエルネスト・ネト氏とアルゼンチン出身のアグスティナ・ウッドゲート氏が決まっている。