露出度の高い服装の女性をかたどった銅像をめぐり、イタリアで議論が巻き起こっている。女性は19世紀の詩に登場する人物だが、政治家の一部からはこれを「女性への侮辱」だとして撤去を求める声も上がっている。
銅像となっている女性は詩人ルイジ・メルカンティーニの作品「La Spigolatrice di Sapri」で描写される人物。透明で肌に密着したドレスを身に着けて立ち、右手を胸に置いている。
銅像はイタリア南部のサプリで先週末お披露目されたが、すぐに一部から反発が起こった。
伊上院の元議長、ラウラ・ボルドリーニ氏は銅像について「女性への侮辱であり、本来称賛するべき歴史も貶(おとし)める」と訴えた。
さらにツイッターでも「男性優位主義は、イタリアの悪徳の一つだ」と付け加えた。
中道左派の民主党に所属する上院議員、モニカ・チリンナ氏は、銅像の撤去を要求。「歴史と女性の顔に平手打ちを食らわせるもの。女性たちは依然として性の対象物(扱い)だ」と述べた。
銅像の除幕式は週末のサプリの町で執り行われた/Italia2TV
また元上院議員のマヌエラ・レペッティ氏は、ハフィントンポストのブログで銅像を見て「ぞっとした」と語ったうえで、「農場労働者をこのように描くのは正常と言えるだろうか」と問いかけた。
当該の詩はイタリア文化の重要な部分を占める作品で、国内の学校でも扱う。描かれるのは1857年のサプリに実際に現れた反乱者たちだ。彼らは支援を募って国王を打倒しようとしたものの、地元住民によって殺害された。銅像の女性は農婦で、反乱者の男たちがサプリに着くのを目撃する。
銅像の除幕式には地元の人々のほか前首相のジュゼッペ・コンテ氏など全国的な著名人も出席した。
サプリのアントニオ・ジェンティーレ首長は銅像を擁護。作者のエマヌエーレ・スティファーノ氏による「技巧と完全なる解釈に基づいて制作されている」と強調した。
同首長はフェイスブックに投稿した声明でレペッティ氏の記事を批判し、サプリは「地元の価値観や規範、伝統に疑問を投げかけるつもりはない」と述べた。
ただレペッティ氏はブログでこの見解への反論を展開。銅像は19世紀の農業従事者を正確に描写していないと主張し、「もちろん『芸術は芸術』だが、常に尊重されるべき適切な背景というものは存在する」とつづった。