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バンクシーの壁画、ハリウッド俳優がペンキで塗りつぶす BBCドラマの撮影中

ハリウッド俳優のクリストファー・ウォーケンが英BBCのテレビドラマ「ジ・アウトローズ」で本物のバンクシー作品を破壊した

ハリウッド俳優のクリストファー・ウォーケンが英BBCのテレビドラマ「ジ・アウトローズ」で本物のバンクシー作品を破壊した/Big Talk/Four Eyes

覆面アーティスト、バンクシーの作品といえば何百万ドルもの高値で売れる。ところがその最新作のひとつが、ほかでもない、ハリウッド俳優のクリストファー・ウォーケンによって一瞬のうちに破壊された。

バンクシーの新作「ザ・ラット」は、英BBCのテレビドラマ「ジ・アウトローズ」の最終回で最後の場面に登場する。同番組は、英コメディー番組「ジ・オフィス」を共同制作したスティーブン・マーチャントが監督、脚本、主演を務める。

ジ・アウトローズはイングランド南部の都市ブリストルが舞台。バンクシーの初期の作品の多くがブリストルで描かれていることから、この覆面アーティストが同市出身だと信じる人も多い。

「ジ・アウトローズ」の最終話で登場するキャスト/Big Talk/Four Eyes
「ジ・アウトローズ」の最終話で登場するキャスト/Big Talk/Four Eyes

ウォーケンはこのドラマの中で、法を破って一緒に社会奉仕活動をする羽目になった仲の悪い7人の1人として登場する。最終回の最後の場面(BBCのiPlayerで10日夜に放送)で一行は、落書きをペンキで塗りつぶして奉仕活動を終了する。

ところがウォーケン演じるフランクが木片を引きはがすと、1匹のネズミと2本のスプレー缶、その上に描かれた「バンクシー」の文字を発見する。戸惑ったフランクは向き直り、ジェシカ・ガニング演じる保護観察官のダイアンに、どうしたらいいかと尋ねる。

「ダイアン、僕が見つけたこのネズミを見て」と訴えるウォーケン。

「10キロ以下の害獣は全部あなたのもの。袋に入れて捨てなさい」。保護観察官は、読んでいたリー・チャイルドの小説から目を離すことなくそう答えた。

「いや、落書きのネズミだよ」とウォーケンが答えると、ダイアンはうんざりした様子で「市はどんな落書きでもペンキで塗りつぶせと言っている。だからそうしなさい」と応じた。

ウォーケンは「これ、すごくいいんだよ」と言い募ってダイアンを振り向かせようとする。

それでもダイアンに「口答えは少なく、塗りつぶしは多く」とぴしゃりと言われると、ウォーケンは肩をすくめてこの作品を塗りつぶし、シリーズは終了した。

クリストファー・ウォーケン(左)とスティーブン・マーチャント/Big Talk/Four Eyes
クリストファー・ウォーケン(左)とスティーブン・マーチャント/Big Talk/Four Eyes

ジ・アウトローズの広報はCNNの取材に対し、ウォーケンが破壊したのが間違いなくバンクシーの作品だったことを確認。声明の中で「『ジ・アウトローズ』の終わりに出てくるアート作品が、バンクシーのオリジナル作品だったことを確認する。クリストファー・ウォーケンがこの場面の撮影中にそのアート作品をペンキで塗りつぶし、結果的に破壊した」と説明した。

バンクシーの作品が公然と破壊されたのは今回が初めてではなかった。2018年、赤いハート形の風船に手を伸ばす少女を描いたバンクシーの象徴的な作品は、ロンドンで行われたサザビーズのオークションで140万ドルで落札された。その直後、「アーティストの額縁」の内部に隠されたシュレッダーが作動して、作品は「自己破壊された」。

この作品は「Love is in the Bin(愛はごみ箱の中に)」と改名されて先月、再びサザビーズのオークションに出品され、同氏作品で最高額となる1850万ポンド(約28億円)で落札された。

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