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紛失したダーウィンのノート、謎のメモとともに返還

自然科学者チャールズ・ダーウィンの書き込みのあるノート2冊が、匿名で返還された

自然科学者チャールズ・ダーウィンの書き込みのあるノート2冊が、匿名で返還された/Stuart Roberts/Cambridge University Library

行方不明となっていた英国の自然科学者チャールズ・ダーウィンの書き込みのあるノート2冊が、匿名で英ケンブリッジ大学に返還された。最初に紛失が報じられてからすでに20年以上が経過していた。

ケンブリッジ大学は声明の中で、2022年3月に2冊のノート(そのうちの1冊にはダーウィンが1837年に描いた「生命の樹」のスケッチが描かれている)がケンブリッジ大学図書館に返還されたと述べた。

2冊のノートはビニールに包まれ、ピンク色のギフトバッグに入った状態で司書の事務所の外に置かれていた。また袋の中にはノートのアーカイブボックスが入った茶封筒と無署名の印刷されたメモが入っており、そのメモには「司書様、ハッピーイースターX」と書かれていた。

メモには「司書様、ハッピーイースターX」と書かれていた/Stuart Roberts/Cambridge University Library
メモには「司書様、ハッピーイースターX」と書かれていた/Stuart Roberts/Cambridge University Library

ケンブリッジ大学が数億円の価値があると見込むこの貴重なノートは、01年1月の定期点検で紛失が判明した。2冊のノートが入った小箱が、大学の特別な収集品を保存しておくための金庫室の所定の場所に戻されていないことが明らかになったのだ。

長期にわたる「徹底的な」捜索の末、ケンブリッジ大学は20年11月、2冊のノートが紛失し、盗まれた可能性が高いと正式に発表した。当時、同大学は、全世界にノート発見への協力を求めた。

ノートは匿名で返却された/Stuart Roberts/Cambridge University Library
ノートは匿名で返却された/Stuart Roberts/Cambridge University Library

ケンブリッジ大学の司書ジェシカ・ガードナー博士は、ノートが返還されたことを発表する声明の中で、「ノートが2冊とも無事に戻ってきたことへの安堵(あんど)感は筆舌に尽くしがたい。世界の多くの人々と同様に、ノートの紛失を知った時には胸が張り裂ける思いだった。ノートが無事に戻り感無量だ」と述べ、さらに次のように続けた。

「はがきほどの大きさのごく小さなノートかもしれないが、このノートが科学史に与えた影響やケンブリッジ大学が所蔵する世界クラスのコレクションにおける重要性は、いくら強調してもしすぎることはない」

ケンブリッジ大学副学長のスティーブン・J・トュープ教授もノートが返還されたことを伝える声明の中で、「ノートが本来あるべき場所に無事に戻ったことはこの上ない喜びだ」とし、さらに「このノートは、科学の歴史だけでなく、人類の歴史を理解する上でも極めて重要だ」と付け加えた。

同声明によると、ノートの紛失および返還に関するケンブリッジシャー警察の捜査は今も続いているという。

ノートには「生命の樹」のスケッチが描かれている/Stuart Roberts/Cambridge University Library
ノートには「生命の樹」のスケッチが描かれている/Stuart Roberts/Cambridge University Library

ロンドン自然史博物館によると、ダーウィンは生命の樹のアイデアを使って進化論を説明するとともに、地球上の全ての種がどのようにつながり、共通の祖先から進化したかを示したという。

ダーウィンの最初の「生命の樹」のスケッチが描かれたのは1837年の夏で、ダーウィンが英海軍の測量船ビーグル号での世界一周の旅を終え、英国に戻った1年後のことだった。それから20年以上後、ダーウィンは自身のキャリアの中で最も重要な著書「種の起源」を出版し、その中で進化に関する発想をさらに広げた。

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