ノーベル文学賞が6日、ストックホルムで発表され、フランスの作家アニー・エルノー氏(82)が受賞した。
エルノー氏は著名な小説を多数執筆しており、その多くは自伝的な性格を持つ。第1作の「Les armoires vides」は1974年にフランス語で出版され、英語では「Cleaned Out」の題名で90年に出版された。82年の第4作「場所」(英語では「A Man's Place」のタイトルで92年に出版)で一躍有名になった。
授賞理由としては「個人的な記憶のルーツ、疎外、集団的な束縛を明るみに出す勇気と冷徹な鋭さ」が挙げられている。
エルノー氏の作品は自身の人生に密接に基づいたもので、家族や階級、政治、ジェンダーについて伝える内容。
選考機関のスウェーデン・アカデミーのアンデルス・オルソン氏は6日の発表の際、「彼女の作品は妥協がなく、磨き抜かれた平易な言葉で書かれている」と説明した。
さらに「彼女が大きな勇気と冷徹な鋭さをもって階級の経験の苦悩を明るみに出し、恥や屈辱、嫉妬、自身を直視できない状態を描くとき、彼女は尊敬すべき不朽の何かを実現している」とも述べた。
スウェーデン・アカデミーは、授賞発表前にエルノー氏に連絡を取ることはできなかったが、早期に受賞を知ってもらえればとしている。
今週はノーベル賞ウィークで、3日から5日にかけて科学分野の賞が発表された。7日にはノーベル平和賞の受賞者が発表される。