英ロンドンのナショナル・ギャラリーで14日、化石燃料に反対する抗議者がフィンセント・ファン・ゴッホの有名な絵画「ひまわり」(1888年)にスープをかける出来事があった。
環境活動団体「ジャスト・ストップ・オイル」に所属する女性2人が、ハインツのトマトスープ2缶の中身をゴッホの絵にぶちまけた。同団体によると、この絵の推定価値は8420万ドル(約125億3000万円)に上る。
/from Just Stop Oil
その後、2人は絵の下の壁に自分たちの体を接着した。
ナショナル・ギャラリーはツイッターに投稿した声明で、ひまわりが展示されている第43室で今回の事案が起きたことを確認。絵の状態についての最新情報を公表した。
これによると、「額縁に軽微な損傷があったものの絵自体は無事」だという。続くツイートでは、絵はガラスに覆われて保護されていたとも説明した。
Activists with @JustStop_Oil have thrown tomato soup on Van Gogh’s Sunflowers at the national Gallery and glued themselves to the wall. pic.twitter.com/M8YP1LPTOU
— Damien Gayle (@damiengayle) October 14, 2022
ロンドン警視庁は本件に対応中であることを確認し、抗議者は「器物損壊と加重不法侵入」の疑いで逮捕されたと明らかにした。
このところ、気候変動における化石燃料の役割に注意を促す目的で、有名な絵画を狙う抗議行動が相次いでいる。7月にはジャスト・ストップ・オイルのメンバーが、ロンドンの王立芸術院にあるレオナルド・ダビンチの「最後の晩餐(ばんさん)」の複製画に体を接着させた。
同じ7月には、同団体の活動家がナショナル・ギャラリー所蔵の名画に自分たちを接着させる事案が発生。イタリアの気候活動団体のメンバーもフィレンツェで、ボッティチェリの「春」に体を接着させた。
ロンドンのテート・ブリテンでゴッホの「ひまわり」を鑑賞する生徒ら=2019年3月25日撮影/Victoria Jones/PA Wire/AP
今月9日には、オーストラリア・メルボルンのビクトリア国立美術館で、「エクスティンクション・リベリオン」の気候活動家がピカソの絵「朝鮮の虐殺」に自分たちを接着させる事案も起きた。
声明によると、ジャスト・ストップ・オイルは14日の行動について、英国で「予定されている石油・ガス開発許可の新ラウンド開始に合わせて」行ったものだとしている。