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気候問題の活動家に禁錮刑、フェルメールの名画狙った抗議で オランダ

フェルメールの名画を標的に抗議行動を展開した活動家2人に対し禁錮刑の判決が下った

フェルメールの名画を標的に抗議行動を展開した活動家2人に対し禁錮刑の判決が下った/Lex Van Lieshout/ANP/AFP/Getty Images

オランダの裁判所は4日までに、ベルギーの気候変動問題の活動家2人に対し禁錮刑を言い渡した。フェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女」を標的に抗議を行ったことが罪に問われた。

2人は環境活動団体「ジャスト・ストップ・オイル・ベルジアム」のメンバーで、それぞれ禁錮2カ月の刑を言い渡された。このうち1カ月には執行猶予が付いた。

オランダのハーグにあるマウリッツハイス美術館で先週起きた出来事は動画で広範に拡散。そこには男性1人が当該の名画に自分の頭部を接着する様子が映っている。抗議に参加したもう1人は、トマトスープの缶の中身を前出の男性のシャツに浴びせた後、壁に据え付けられた台に自らの手を接着した。この人物には現時点で判決は下っていない。3人目の人物が、これらの行動を撮影した。

彼らの1人は来館者に向かって、「美しく、金に換えられない価値のあるものを突然目の前で破壊されたらどう思う?」と、英語で問いかけた。その上で「怒りを覚えるか? なるほど。ではそうした感情は今どこにある? この地球が我々のまさに目の前で破壊されているときに」と続けた。

抗議行動の後、マウリッツハイス美術館の外で警備に立つ警察官/Phil Nijhuisanp/ANP/AFP/Getty Images
抗議行動の後、マウリッツハイス美術館の外で警備に立つ警察官/Phil Nijhuisanp/ANP/AFP/Getty Images

動画では来館者らが異議を込めて「不快だ」、「恥を知れ」などと叫んでいるのが聞こえる。

抗議行動のメンバーはさらに「この絵はガラスで守られている。全く問題ない」と発言。「弱い立場にあるグローバルサウス(訳注:主に南半球に偏在している開発途上国)の人々は守られていない。我々の子どもの未来は守られていない」

美術館側は17世紀に描かれた当該の名画について、「損傷はない」と説明。翌日には一般展示に戻した。ただオランダ検察によると、19世紀に作られた額は、抗議行動の中で損傷したという。

検察は判決を伝える報道向け発表の中で、メンバーが活動家に向けて「メッセージを発したかった」と説明。「展示されている美術作品は皆のものであり、我々全員が鑑賞するためにそこにある。それを汚した被告らは、自分たちのメッセージがそれ以外の全てに優先する気分でいる」

検察の当初の求刑は、禁錮4カ月でうち2カ月を執行猶予とするものだった。しかし裁判官は、自らの判決によって他の人々が意思表示のための行動を思いとどまるようになるのは望まないと述べた。ロイター通信が伝えた。

当該の2人の裁判は、迅速に審理する形で行われた。罪状は当該の絵画に対する破壊と公然たる暴力。裁判の迅速化に同意しなかった3人目の活動家は、4日に出廷する予定。検察は3人全員が今回の行動について「連帯責任を負う」と述べた。ロイター通信が報じた。

判決に先駆け、美術館や自動車のショールーム、企業本社などを標的にした反化石燃料の抗議行動がここ数週間相次いでいた。先月には2人組の活動家が、独ポツダムのバルベリーニ美術館に展示されているモネの「積みわら」にマッシュポテトを投げつけた。一方英国では、ジャスト・ストップ・オイルのメンバー2人が、ゴッホの「ひまわり」にトマトスープをぶちまけ、器物損壊罪で訴追されている。

2日の判決を受けてジャスト・ストップ・オイル・ベルジアムは、ロイター通信の取材に電子メールで答え、「気候問題の活動家が非暴力的な方法で地球上の生命の大量虐殺に異を唱えた。それで非難されるというのは何とも皮肉ではないか?」と述べた。同団体と英国のジャスト・ストップ・オイルとの間に提携関係はない。

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