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イスラエル人監督に殺害予告 ベルリン映画祭でガザ停戦を呼び掛け

イスラエル人のユバル・エイブラハム監督(左)とパレスチナ人のバセル・アドラ監督

イスラエル人のユバル・エイブラハム監督(左)とパレスチナ人のバセル・アドラ監督/John Macdougall/AFP/Getty Images

(CNN) イスラエルのジャーナリストで映画監督でもあるユバル・エイブラハム氏は、殺害予告を受けてベルリン国際映画祭からの帰国便をキャンセルしたことを明らかにした。同氏は映画祭の受賞スピーチでアパルトヘイト(人種隔離)政策の状態を非難し、パレスチナ自治区ガザ地区での停戦を呼び掛けていた。

エイブラハム氏とパレスチナ人のバセル・アドラ氏は、共同で監督を務めた映画「No Other Land(原題)」で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。イスラエル当局が占領する自治区ヨルダン川西岸地区で、パレスチナ住民が家を追われたり、取り壊されたりする過程を追った作品だ。

2人の受賞スピーチは、独ベルリン市長や駐独イスラエル大使ら、ドイツとイスラエルの高官から反ユダヤ主義との批判を受けていた。

エイブラハム氏は27日、SNSへの投稿で「イスラエルの右翼集団が昨日、私を捜して家族の家に押し掛け、近親者を脅した。家族は夜中に別の街へ避難した」と述べた。

さらに「私は今も殺害予告を受けている。帰国の飛行機はキャンセルした。イスラエルのメディアとドイツの政治家たちが、私のスピーチに反ユダヤ主義というばかげたレッテルを貼った後で起きたことだ。スピーチはイスラエル人とパレスチナ人の平等、停戦、アパルトヘイトの撤廃を求める内容だった」と語った。

ベルリン国際映画祭のロゴ/John Macdougall/AFP/Getty Images
ベルリン国際映画祭のロゴ/John Macdougall/AFP/Getty Images

西岸地区を拠点とする共同監督のアドラ氏は24日に受賞した際、「ガザ地区で何万人もの同胞がイスラエルに惨殺され、大量に虐殺されている今、祝う気分には到底なれない」と話していた。

その隣でエイブラハム氏は、自分とアドラ氏が「お互いから30分ほどの距離」に住んでいるにもかかわらず、2人の間に格差があることを強調。

「私は文民の法律、アドラ氏は軍の法律の下で暮らしている。私には選挙権があるのに、かれにはない。私はこの地のどこへでも行きたい場所に行けるが、かれは何百万人ものパレスチナ人と同様、占領下の西岸地区に閉じ込められている」と語った。

さらに「私たちは停戦を求める必要がある。占領を終わらせるための政治的解決を呼び掛ける必要がある」と訴えた。

これに対してベルリンのウェグナー市長は25日、X(旧ツイッター)への投稿で、スピーチを「容認できない相対化」と非難し、映画祭の運営者に「このようなことが二度と起きないことを保証」するよう求めた。

また「ドイツ政府はイスラエルを断固支持する。疑いの余地はない」「イスラエルとガザ地区の深い苦難の責任は、すべてイスラム組織ハマスにある」と断言した。

イスラエルのプロソル駐ドイツ大使は25日、Xへの投稿で、エイブラハム氏のコメントを「あからさまな反ユダヤ主義、反イスラエルの発言」と断じ、映画祭が「偏見をあらわにした」と主張した。

これに対してエイブラハム氏は、反ユダヤ主義という言葉の「ひどい乱用」だと反論。「パレスチナの反イスラエル派だけでなく、私のようにガザ地区での殺りくを止め、イスラエル人の人質を解放させる停戦に賛同しているイスラエル人をも黙らせるために乱用することで、反ユダヤ主義という言葉は意味を失い、結果として世界中のユダヤ人が危険にさらされる」と警告した。

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