(CNN) 「レザベーション・ドッグス」の主演を務めるディファラオ・ウン・ア・タイさん(22)は15日、血のような赤い手形を口のまわりにつけ、黒いタキシード姿でエミー賞授賞式のレッドカーペットに登場。力強いメッセージを発した。
バラエティ誌によると、オジ・クリー族の血を引くカナダ人のウン・ア・タイさんは、エミー賞の主演男優賞にノミネートされた初の北米先住民だ。
口に赤い手形をつけることは、行方不明になったり殺害されたりした先住民女性に関する活動のシンボルになっている。非営利団体のネイティブ・ホープによると、この活動は北米全土で行方不明になったり殺害されたりした先住民女性たちの現状に対する認知を高めるものだ。
ウン・ア・タイさんはインスタグラムにレッドカーペットの写真とともに「私はここにいない人たちのためにこれをやった。私のためでもみんなのためでもない」と投稿した。
アーバン・インディアン・ヘルス・インスティテュートによると、米国内の特別保留地に住む女性の殺人率は全国平均の10倍で、殺人は先住民女性の死因の3位となっている。
カナダでは殺害されたり行方不明になったりした先住民の女性と少女の数は数千人に上る。カナダ政府はこの確率は国内の先住民以外の女性よりも12倍高いと報告している。
カナダ政府は2016年、行方不明になったり殺害されたりした女性と少女に関する全国調査を開始。調査の結果、この状況は特に女性を標的とした先住民に対する「人種に基づくジェノサイド(大量虐殺)」にあたることが判明した。アムネスティ・インターナショナルもこれらの数は「大量虐殺の危機」に相当すると述べている。
ウン・ア・タイさんは授賞式の数日前、カナダ・オンタリオ州のカーブ・レイク・ファースト・ネーション特別保留地から電話でカナダ通信に対し、「私たちが日々直面している問題をくい止めることにエミー賞が本当に役立つかは分からない」と語った。
「それは私たちに希望を与えてくれるだけだ。保留地の子どもたちに、自分も舞台に立ち、同じことができるという希望を与えてくれるし、実際にできる」(ウン・ア・タイさん)
ウン・ア・タイさんは、FXによるテレビシリーズ「レザベーション・ドッグス」でベア・スモールヒル役を演じて主演男優賞にノミネートされた。このコメディードラマは、米オクラホマ州の保留地に住む4人の先住民のティーンエイジャーの生活を描いたものだ。先住民が完全に脚本と監督を手がけ、大半のキャストとスタッフも先住民で構成された初めての米国テレビシリーズとなった。
バラエティ誌によると、女優のカーリー・レイスさんとリリー・グラッドストーンさんも今年のエミー賞の演技部門で初めて先住民女性としてノミネートされ、歴史を作った。