これは世界で最も細身の超高層ビルのインテリアを設計したデザイナーたちから、超豪華な生活を夢見る人々への少し早いクリスマスプレゼントだ。
ニューヨークに拠点を置くデザイン会社、スタジオ・ソフィールドが、スタインウェイ・タワーの内部を公開した。スタインウェイ・タワーは、ニューヨーク・マンハッタンに新たに建設された、セントラルパークを一望できる高さ約435メートルの超高層ビルだ。今回の発表は、かつてピアノメーカーのスタインウェイ・アンド・サンズの旧社屋があった場所に建てられた、この豪華なマンハッタン・ミッドタウンのランドマークがついに完成したことを意味する。
建物の高さは約435メートル/David Sundberg
「111ウェスト57thストリート」という名でも知られる、この91階建ての超高層ビルには、46戸のフルフロアかつメゾネットタイプの住宅が含まれている。このビルを設計したデザイナーたちが11月に公開した写真には、ライムストーン、大理石、黒色のスチール、ベルベットで飾られた豪華なロビーや、スモークグレーの硬いオーク材の床、さらにピカソやマティスの本物の絵画が写っている。
スタジオ・ソフィールドによると、スタインウェイ・タワーのインテリアは、市内の大通りにアンドリュー・カーネギーやコーネリアス・バンダービルトといった「泥棒男爵」たちの豪邸が立ち並んでいた19世紀後半のニューヨークの金ぴか時代の壮大さを想起させるデザインになっているという。スタインウェイ・タワーがあるミッドタウンの通りには光り輝く超高層ビルが立ち並び、「ビリオネアズ・ロウ(億万長者通り)」と呼ばれている。
ウィリアム・ソフィールド氏が内装を担当した/Adrian Gaut
スタジオ・ソフィールドの創業者ウィリアム・ソフィールド氏は、CNNとのインタビューで、スタインウェイ・タワーをいかにもニューヨークっぽい建物にしたかったと語った。
「我々は皆、非常に豪華な場所には行ったことがある。しかし、私は世界のどこにも存在しえない建物を作りたかった」とソフィールド氏は述べ、さらに次のように続けた。「複数の住宅を所有している人が大勢いるであろうことは分かっているし、そういう人々は(スタインウェイ・タワーの)アパートも所有するだろう。そこで、私はニューヨークでしか味わえない、独特の体験を作りたかった」
デザインは、ニューヨークらしい雰囲気を生み出すことを目指した/Adrian Gaut
記録的な偉業
スタインウェイ・タワーのその他の屋内設備としては、床から天井まである窓や1列に並ぶケンチャヤシが特徴の明るい部屋に設置された長さ約25メートルのスイミングプールや、ニューヨークの有名な高級カクテルバー、キング・コール・バーを現代風にアレンジしたバーがある。このバーにも金・銀色の特注の壁画や、装飾用のバルコニーがある。
他にも出張シェフ用のキッチンを備えた食事用の個室や、ゴルフシミュレーター、造園されたテラスなどの公共設備を備える。
天井の高い屋内プール/Adrian Gaut
ソフィールド氏は「自分の仕事には常に強い個人的なこだわりを持っている」とした上で、「例えばスイミングプールにしても(中略)平凡なプールのようにはしたくなかった。このプールには、細部に金箔(きんぱく)を使用するなど、細部の装飾にこだわった木製パネルが使われている」と付け加えた。
またソフィールド氏は「(プールのある部屋の)天井はアーチ形だ」とし、さらに「カーテンまである(中略)ので、ニューヨークのどのスイミングプールとも大きく異なる」と述べた。
スタインウェイ・タワーの開発者らは、塔状比(建物の幅と高さの比率)が1:24のこの建物を「世界で最も細身の超高層ビル」と評している。スタインウェイ・タワーのファサード(正面部分)にはテラコッタのブロックが使用されており、光の当たり方や見る角度によって違った色、質感に見える。
開発者は、この建物を「世界で最も細身の超高層ビル」と呼んでいる/Adrian Gaut
またスタインウェイ・タワーは西半球で最も高いビルのひとつでもあり、約435メートルという高さは、ニューヨーク市にあるワン・ワールド・トレード・センターの約541メートル、セントラル・パーク・タワーの約472メートルに次ぐ。
「ペンシルタワー」とも呼ばれる超細身の超高層ビルは、1970年代に香港のスカイラインの際立った特徴だったが、それ以来、ニューヨークなどの主要都市も追随した。
JDSディベロップメント・グループとプロパティー・マーケッツ・グループが開発した、このスタインウェイ・タワーの住居部分の価格は、775万ドルから6600万ドルまで幅広い。