世界初、どこをとっても軟らかいタコ型ロボを開発 米大学
(CNN) 米ハーバード大学はこのほど、軟らかな素材だけで作られた小さなタコ型ロボット「オクトボット」を開発したと発表した。硬い部品を一切使わず内部の化学反応だけで動く世界初のロボットで、サイズはSDメモリーカードよりやや大きい程度しかない。
科学誌ネイチャーで24日、発表された論文によればオクトボットが自ら動く仕組みはこうだ。オクトボットの内部には過酸化水素が少量入れられており、これが化学反応によって気体となる。気体はオクトボットの腕の内部を流れ、腕を小刻みに動かすという。過酸化水素が気体になるタイミングを制御しているのは、体内の小さな回路だ。
現時点で開発チームは、オクトボットによってコンセプトの実現可能性を実証したにすぎない。だが将来的には、人間が入れないようなところに入り込んで捜索・救助活動に携わるロボットといった、より複雑な軟体ロボットの開発につなげたいという。
だが完成度の高い軟体ロボットを作るのは容易なことではない。
通常のロボットであれば、充電池や電子制御装置といった硬い部品を用いて効率的な動きを実現している。
ハーバード大学のロバート・ウッド教授によれば、軟体ロボットではこうした硬い部品を同じような機能を持つ軟らかいシステムに置き換えなければならない。
論文の共著者であるマイケル・ウェーナー氏は「過酸化水素の素晴らしいところは、触媒となる白金との単純な反応により、硬い動力源の代替となるところだ」と説明する。
オクトボットには本物のタコのようなアクロバティックな動きはできない。だが次の段階では、泳いだり周囲の状況に反応できるような軟体ロボットを作ることを開発チームは目指している。