超音速機コンコルド、実際の乗り心地は? 経験者が振り返る
20世紀半ばの驚異
コンコルドが開発された当時、航空業界では超音速の空の旅に注目が集まっていた。
1960年代前半、航空関連の技術者は今日のような設計・分析手法を持ち合わせていなかった。しかしコンコルドの設計者は、著しく先進的で独自の航空機を考案した。
コンコルドはアフターバーナー付きターボジェットエンジンを備えた初の、そして今に至るまで唯一の旅客機だ。この仕組みは英国では「リヒート」と呼ばれており、4つあるエンジンの排気装置に燃料を吹き込み、エンジンの推力を瞬時に20%近く増大させる。
ブリティッシュ・エアウェイズのコンコルドで機長を務めていたジョン・タイさんは、「コンコルドは当時の亜音速機とは大きく異なっていた。フラップやスラット(揚力向上のために翼に取り付ける装置)は備えておらず、離陸の際は常にリヒートによるフルパワーを使用していた」と説明する。
「離陸は毎回、素晴らしい体験だった。すさまじい離陸性能で、乗客に前もって注意を促さなければいけないほどだった。ロールス・ロイス・オリンパスのエンジン音、それに座席に押し戻される体験も合わせて、民間機では他に類例がなかった」
一時代の終わり
1976年ともなると、コンコルドの騒音やソニックブームをめぐる社会的懸念が高まり、コンコルドの発注はほぼ全て取り消される状況となっていた。