紛失荷物を乗客が自力で追跡、米空港従業員の自宅突き止め 窃盗罪で訴追
(CNN) 米フロリダ州にある空港内の売店の従業員が、旅客機に搭乗予定だった乗客の預け荷物を盗んだとして重窃盗罪で訴追された。被害者の女性は紛失した荷物を自分で追跡し、この従業員の自宅を突き止めていた。
事件は今年3月、フロリダ州のフォートローダーデール・ハリウッド国際空港で発生。同空港を出発する便に搭乗予定だった女性乗客の荷物が盗まれ、フォートローダーデール在住のジュニア・ジニアス・バザイル被告(29)が重窃盗罪で訴追された。
調べによると、被害者の女性は3月3日夕、同空港を出発するスピリット航空便に搭乗する予定だったが、同便が欠航となり、預けていた荷物は4番ターミナルのターンテーブルで回収できると乗客全員に告げられた。
CNN提携局WPLGによると、被害に遭ったのはパオラ・ガルシアさん。2時間以上待ったが自分が預けたピンクのスーツケースは出てこなかったと説明した。中にはアップルのMacBook、iPad、Apple Watchとジュエリー、高級衣類などが入っていたという。
スピリット航空からは、荷物は自宅に送ったと説明されたが、荷物が届くことはなかった。そこでガルシアさんは自分で追跡することにした。
電子トラッカーでスーツケースに入れたエレクトロニクス製品の所在をたどったところ、フォートローダーデール市内の住所が表示された。
ガルシアさんはこの住所の家を訪ねたが、家の中の人物と連絡を取ることはできなかった。家の前に複数の荷物があるのを見て撮影した写真と動画の中に、自分のスーツケースはなかった。
警察に電話すると、まず「ここで何をしている? ここにいるのはあまりに危険だ」と告げられたという。
ブロワード郡保安官事務所の捜査員が空港従業員のデータベースでこの住所を検索した結果、バザイル被告の自宅の住所だったことが判明。同被告は空港内の旅行用品店の従業員で、窃盗があった日も勤務していた。
捜査員が事件当日の防犯カメラの映像を調べた結果、盗まれたものと一致するピンク色のスーツケースを持って店の保管庫に入り、荷物をあさるバザイル被告とされる人物が映っていた。バザイル被告はMacBookなどをスーツケースから取り出して、別の袋に入れ替えていた。
WPLGは、ピンク色のスーツケースが入ったビニール袋と、ノートパソコンをもつ男の写真を放映している。
勤務先の店は5日、問題の従業員は事件の発覚を受けてすぐに解雇したとCNNに説明し、警察の捜査には協力しているとした。
バザイル被告は無罪を主張し、保釈金3万ドルを支払っている。次回は8月23日に出廷する。
スピリット航空はCNNに寄せた声明の中で、同航空の従業員の関与は確認されていないとした上で、荷物を盗まれた女性には「礼儀として」弁済の小切手を送ったと説明した。