オバマ大統領、トランプ氏を激しく攻撃 イスラム教巡る発言などで
トランプ氏は14日夜、ノースカロライナ州の集会で「オバマ大統領は事件の容疑者よりも私に対して腹を立てているらしい」「その怒りは容疑者や、この地にいてはいけない殺人者たちに向けるべきだ」と言い返し、「ひどい大統領だ」と非難した。
オバマ大統領がトランプ氏を批判したのは初めてではないが、14日の演説にはこれまでにない激しさと怒りがみられた。その裏には国内だけでなく世界に向け、米政府としてトランプ氏の考えを拒否する姿勢を明示する狙いがあったとの指摘もある。
政権高官がCNNに語ったところによると、オバマ大統領は13日、トランプ氏の演説を聞いてしばらく考えた後、反論の演説をしたいと側近に切り出した。演説が終わった後、ホワイトハウスのアーネスト報道官が語ったところによれば、大統領は総合的な対テロ戦略の代わりに政治的テーマを振りかざす言葉が飛び交っていることに憤慨していたという。
世界の指導者の中でも特に冷静な人物として知られるオバマ氏が、この日は珍しく公の場で怒りを爆発させた。2012年にコネティカット州の小学校で起きた銃乱射事件の直後や、その後も銃規制強化に反発する議会を批判した際に、国民の前で見せた涙を連想させる姿だった。
だが一方で、米国育ちの「ホームグロウン・テロ」という脅威におびえる国民や、大統領の対ISIS戦略を弱腰と批判する野党などを、今回の演説で納得させることができたのかは疑問だ。大統領はトランプ氏と同じ土俵で怒りをぶつけるのではなく、国民の団結を呼び掛けるべきだったと批判する声も上がっている。