金正恩氏は「理性的な人物」、CIA高官が行動分析
北朝鮮内部では、自分の地位を脅かすと見た相手は積極的に排除する。韓国のシンクタンクによれば、金氏が実権を握って以来、処刑を命じた人物は少なくとも340人。うち140人は、政府や軍、朝鮮労働党の高官だった。
2013年には叔父の張成沢(チャンソンテク)氏を処刑し、マレーシアで今年殺害された異母兄弟の金正男(キムジョンナム)氏も、正恩氏が暗殺を命じたと伝えられる。
金氏のそうした行動は、一時の感情や衝動ではなく、自分のための利益を追求して行動する指導者の特徴に一致するとリー氏は指摘。その姿勢は米国への対応にも表れているといい、「金氏の長期的な目標は、米国との間で何らかの大国合意に持ち込み、朝鮮半島から米軍のプレゼンスを排除することにある」と語った。
ただ、金氏が進める長距離核兵器開発は、米国や地域の米同盟国の安全保障政策と対立してきた。相次ぐミサイル実験や核実験で、その緊急性は一層強まっている。
「北朝鮮は明らかに、米国と国際社会の忍耐を試している」とコリンズ氏は言う。
金氏の行動はまた、中国に見捨てられるのではないか、あるいは米国に軍事攻撃を仕掛けられるのではないかという不安にもはや自らが束縛されなくなったことをうかがわせるという。
その不安がなくなった今、問題は「金正恩氏がどこまでやるか」だとリー氏。