トランプ米大統領、予算教書を発表 財政赤字は1兆ドル超
ワシントン(CNN) 米国のドナルド・トランプ大統領は11日、2020会計年度(19年10月~20年9月)の予算教書を発表した。国防以外の幅広い分野で予算の削減を求めているが、財政均衡の達成時期は2034年までを目指すとしている。
トランプ大統領は4兆7000億ドル(約523兆円)の予算教書で、米国とメキシコとの間に建設する「国境の壁」について86億ドルの予算を要求した。国防以外の分野については削減を提案したが、国防費については増額する意向を示した。
トランプ大統領の予算教書に対して、すでに野党・民主党から批判の声が出ている。予算教書は今後、議会で審議が行われるが、下院は民主党が過半数を占めている。
2020年の大統領選が近づくなか、トランプ大統領にとっては自身の政治基盤にとって人気のある、保守的な優先課題に予算を拠出し、国内の財政支出プログラムを削減する姿勢を示すための好機といえそうだ。
国防費は、前年度の7160億ドルから5%増加の7500億ドル規模。一方で、連邦政府の各機関については5%の削減を求めた。
20年度の財政赤字は1兆1000億ドル規模となる見通し。財政均衡については、市場よりも高い経済成長見通しをしつつ、2034年までに実現する意向を示した。
下院予算委員会のジョン・ヤーマス委員長(民主)は、「トランプ大統領の予算教書が再び提示したものは、人的な損失を考慮しない、米国に対する無責任で冷笑的なビジョンだ」と指摘した。民主党のナンシー・ペロシ下院議長とチャック・シューマー上院院内総務は10日、国境の壁の建設費用について阻止する考えを示していた。