米NY市の病院職員、ワクチン義務化に抗議デモ 組織した技師は停職
(CNN) 米ニューヨーク市スタテン島にある病院の職員が、新型コロナウイルスのワクチン接種や検査の義務付けに対する抗議運動を展開している。
米医療機関ノースウェル・ヘルスの系列病院スタテン島大学病院は、16日から職員のワクチン接種を義務化し、接種しない場合は週1回の検査を義務付けた。
ニューヨーク州は9月27日から医療従事者に対し、宗教や医療上の例外が認められる場合を除いて少なくとも1回のワクチン接種を義務付ける。
スタテン島大学病院前では18日、100人あまりが集まって義務付けに抗議した。
同病院に勤務するCTスキャン技師のジョン・マットランドさんは、中心となって抗議運動を組織した1人。CNNの取材に対し、「もっとたくさんの時間とたくさんの研究が必要なのに、私たちは世界的な規模でこれを推進している。私に言わせれば、それは賢明な判断ではない」と訴えた。
一方、ノースウェル・ヘルスは声明の中で、「職員の80%にワクチンを受けさせることに成功した」としたうえで、「患者と地域社会の安全を守るため、全職員に新型コロナウイルスのワクチン接種を義務付けることにした」と説明。速やかに検査を受けない職員は、解雇を含む処分を受けることもあるとした。
マットランドさんは7月28日から、メッセージアプリ「ワッツアップ」経由でワクチンに反対する医療従事者とチャットを始めた。チャットの参加者が増え続けたことから別のメッセージアプリに移行して、今回病院前で行った抗議デモにつながった。
米食品医薬品局(FDA)は今月23日、ファイザーとビオンテックが共同開発したワクチンを正式承認した。それでもマットランドさんの姿勢は変わらず、たとえ解雇されたとしても、信念を貫く用意があると話している。同病院の放射線部門に勤務する6人のうち、現時点で4人がワクチンを接種していないという。
ノースウェル・ヘルスの広報は、もし方針に従わない職員を解雇した場合、人員不足が懸念されるのではないかとの質問に対し、「職員のワクチン接種によって患者と職員の安全を守る重要性の方が、人員問題の可能性をめぐる懸念よりも大きい」と強調した。これまでのところ、解雇された職員はいないとしている。
マットランドさんは18日の抗議運動後、無給の停職処分となった。この処分についてマットランドさんは、「声を上げた」ことに対する報復だったと主張。「我々は従わない」という掲示を披露したという濡れ衣を病院側から着せられたと訴えている。
ノースウェル・ヘルスは、「患者と職員が重大な危険にさらされた」事案に関する調査を行う間、マットランドさんを停職処分としたことを確認した。「徹底調査」を行った後、マットランドさんの雇用について判断するとしている。
スタテン島の新規の症例数は、ニューヨーク市の統計で人口10万人あたり222.62人と、同市の5地区の中で最も多い。同市全体では10万人あたり149.81人となっている。