米控訴裁、トランプ氏の訴え退ける 米議会襲撃調査委への文書提出
(CNN) 米首都ワシントンの連邦控訴裁判所は9日、今年1月6日に発生した米議会議事堂襲撃事件を調査する下院特別委員会へのホワイトハウスの記録提出を巡る訴訟で、提出の差し止めを求めるトランプ前大統領の控訴を退ける判断を示した。
ただ、裁判所はトランプ氏が連邦最高裁の介入を求めることができるよう、2週間判決を停止した。
裁判所は「1月6日の事件は、我々が当然だと考えていた民主主義の機構や伝統のもろさを露呈した」「これに対して、米国大統領と議会はそれぞれ、大統領の通信記録のこの部分を入手することが国家の憲法上の重大な局面に対処するのに必要だと判断した。トランプ前大統領は裁判所に対し、問題となっているバイデン大統領の行政府の利益に関する評価を退け、または行政府と立法府が避けてきた権力分立上の衝突を招くべき法律上の理由を何ら提示しなかった」と述べた。
バイデン氏は問題の文書について大統領特権を主張しなかった。当局者によると、バイデン氏は議会襲撃事件に関する「特異で異常な」状況からは透明性が必要とされると判断したという。
トランプ氏は今年10月、国立公文書館から委員会への文書提出の差し止めを求めて提訴。現大統領の大統領特権を主張しないという判断を前大統領が覆そうとする試みに、裁判所がどのような判断を下すのかに注目が集まった。
控訴裁判所は「法の支配に欠かせないのは、大統領経験者であっても暫定的な差し止めの救済を受けるには他の全員と同じ法的基準を満たす必要があるということだ。トランプ前大統領はその課題に失敗した」と述べた。