ロシア国営メディアRT、グローバルな情報工作で主要な役割 米政権が新たな証拠公表
(CNN) バイデン米政権は13日、ロシア国営メディア「RT(ロシア・トゥデー)」の世界的な影響力を抑制することを目的とした大規模施策を発表した。RTがロシア政府のグローバルな情報工作や影響力工作で主要な役割を果たしている実態を明るみに出している。
米国務省は今回、RTが世界各地のロシアの情報工作に完全に組み込まれていることを示す機密解除された諜報(ちょうほう)を公表。RTの活動に関するリスクについて諸外国に情報提供するため、外交キャンペーンを開始する方針を明らかにした。
ブリンケン国務長官は「主にRTの従業員から得られた新情報により、RTがサイバー能力を有し、秘密裏の情報工作や影響力工作、軍事調達に関与していることが分かった」としている。
新たな米国の諜報によると、ロシア政府は1年以上にわたり、グローバルな情報工作に特化した情報収集部隊をひそかにRT内に組み込んでいた。この活動について米当局者は、海外においてロシア政府の機関や代弁者を務めるというRTの役割が大幅拡大したことの一環だと指摘している。複数の米当局者によると、活動内容はプロパガンダや情報工作にとどまらず、軍事調達にまで及んでいるという。
ブリンケン氏は「RTを隠れみのにしてこの部隊を通じて作成された情報は、ロシアの情報機関や国営メディア、傭兵(ようへい)、ロシア政府の他の国家機関や代理機関に流れている」と指摘した。
影響力工作に加え、RTの幹部はウクライナで戦うロシア兵に軍事装備を提供する目的で、クラウドファンディングの取り組みも管理していたとされる。
ブリンケン氏によると、このクラウドファンディングにより「狙撃ライフルや銃の消音装置、ボディーアーマー、暗視装置、ドローン(無人機)、無線機器、照準器、ディーゼル発電機」がウクライナで戦うロシア兵に供給されていたという。
国務省の発表の予定についてはCNNが最初に報じた。
RTはCNNからコメントを求められ、あざ笑うような内容のメールを返信。そこには「我々は常にKGB(国家保安委員会)の中枢から放送している」などと書かれている。