中国は「報道の暗黒大陸」か 現地ジャーナリストに聞く
ニューヨークや香港に上場する企業であればデータを公開せざるをえないことから、公開情報を手がかりに取材を進めやすくなった。
また、ソーシャル・メディアの浸透も手助けとなっている。中国版ツイッター「新浪微博(ウェイボ)」やメッセンジャーアプリ「微信(ウェイシン)」が普及し、自らニュース発信する市民ジャーナリストも増えた。
ハッツラー氏は「政府はこうしたテクノロジーを統制しようとしているが、もう潮流は定着している。当局が事件の語り口を意のままに操ることは不可能になりつつある」と指摘する。
さらに、国営メディアの内部からも意欲的な記者が出てきており、党の公式方針から離れて活動することすらあるという。
陳氏は「党の機関紙だからといって、絶対服従ではないようだ。中国地元メディアの多様性が増大している証しだ」と説明する。党に印刷物を検閲された場合、記事をネットに掲載するという手段も残されている。
中国当局の記者への姿勢は手荒くなっているが、記者の側でも巧みに対処している。黒々と塗りつぶされた地図上にも間隙(かんげき)をぬう余地はありそうだ。