中国は「報道の暗黒大陸」か 現地ジャーナリストに聞く
ビザ問題については、米紙クリスチャン・サイエンス・モニターの中国支局長で、北京の中国外国人記者クラブ(FCCC)会長を務めるピーター・フォード氏も危機感を表明。米紙ニューヨーク・タイムズや米通信大手ブルームバーグの記者が指導層の私財問題を追及してビザ発給を拒否された件に触れた。
フォード氏は、当局がビザ発給を遅らせることで、記者個人のみならず、支局全体を暗に威圧しているのはないかと指摘する。同氏は「これほど長く待たねばならない理由について、まるで公式な説明がないとなると、報道内容への報復ではないかという疑念が募る」と述べる。
中国人の記者を取り巻く環境はさらに厳しい。継続的な脅しを受けたり、投獄されたりするリスクもある。ハッツラー氏も、中国人記者は国外脱出することができないため特派員より弱い立場にあると指摘、保護の必要性を訴えた。
ただ、中国の経済解放が進むにつれ、報道に対する当局の締め付けも及ばなくなりつつあるようだ。
香港大学教授でジャーナリズムが専門の陳婉瑩氏は、中国が世界経済に組み込まれ、企業の透明性が求められるなか、記者が入手できる情報も増大した点に着目する。