米民間人に初の犠牲、迫撃砲の破片直撃 紛争激化のイエメン
(CNN) 政府軍とイスラム教シーア派武装組織「フーシ派」の攻防が続くイエメン南部アデンで、米国人の男性が戦闘に巻き込まれて死亡していたことが6日までに分かった。今年1月以降に激化した同国の紛争で、米国人の死者が出たのは初めてとされる。
亡くなったのは米カリフォルニア州ヘイワード出身のガソリンスタンド経営者、ジャマル・ラバニ氏(45)。遺族によると3月31日の夕方、モスク(イスラム教礼拝所)から帰宅する途中で迫撃砲の破片に背中を直撃され、数分後に死亡した。
ラバニ氏は今年2月、妊娠中の妻と2歳の娘を連れてイエメンへ渡った。同国ではその直後から治安が悪化し、米国大使館も閉鎖された。
同氏は妻子とともに国外へ退避しようと考え、亡くなる2日前には家族らに「オマーン側へ越境してエジプトへ飛ぶしかない」と話していたという。
同氏のいとこはCNNとのインタビューで「空港も閉鎖され、事態は悪化するばかりだった」と話した。
イエメンの治安悪化を受けて諸外国の政府が国民を退避させるなか、米政府は現地の米国人に十分な支援を影響していないと批判する声も上がっている。
米国務省の報道官はCNNに、今のところ米民間人を救出する計画はないと説明。同国に滞在する米国人には、民間機での脱出が可能になるまで安全な場所に身を隠すよう勧告していると述べた。
イエメンでは5日も各地で激しい戦闘が展開された。首都サヌアなどフーシ派が支配する地域では、4日夜から大規模な停電が続いている。