安倍首相が米議会演説 「慰安婦」問題で抗議集会も
ワシントン(CNN) 訪米中の安倍晋三首相は29日、米議会上下両院合同会議で演説し、アジアの安全保障や国際外交の舞台で日本が関与を深める姿勢を打ち出した。
役割拡大の要となるパートナーシップ協定(TPP)について安倍首相は、一部の懸念を払拭(ふっしょく)しようとするオバマ米大統領と同様の理論を展開し、TPPは環太平洋地域の貧しい国々の労働環境や環境基準を向上させる好機になると指摘。こうした国は中国の経済圏にのみ込まれる恐れがあるとの見方を示し、「太平洋の市場では、過酷な労働や環境への負荷を見逃すわけにはいかない」と訴えた。
今年は戦後70年の節目に当たり、安倍首相はアーリントン国立墓地やホロコースト記念館も訪問。演説では「歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なもの」だと述べ、「日本国と日本国民を代表し、先の戦争にたおれた米国の人々の魂に深い一礼をささげる」と語った。
同時に日本経済の再生や安全保障に果たす役割の拡大を目指す姿勢を打ち出し、「国際協調主義に基づく積極的平和主義」という新しい旗印を掲げると宣言した。
一方、議事堂前では抗議集会が開かれ、第2次世界大戦中に旧日本軍が韓国と中国で「慰安婦」を使ったことに対し、安倍首相が直接謝罪しなかったと批判した。
安倍首相の演説では間接的に、「紛争下、常に傷ついたのは女性だった。私たちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはならない」と言及するにとどめた。