米国からカナダへ、難民が決死の越境 トランプ政権を不安視
そんな中で難民の支援に取り組む人もいる。マニトバ州の支援団体を率いるリタ・チャハルさんは、「ウェルカム・プレース」という受け入れ施設を立ち上げた。難民グループから連絡が入ると国境まで迎えに行き、毛布や宿泊場所、食料、通訳サービスを提供する。国境まで1日3回も車を走らせることもある。
ガーナ出身のラザク・イオヤルさんとセイドゥ・モハメドさんは昨年12月に越境してきた。予想もしなかった極寒の中を3時間歩き続け、手がガラスのように音を立てるほど凍り付いた。
午前2時半に幹線道路までたどり着いた。すでにカナダ側に入っていたが、それも気づかなかった。道路が悪天候で閉鎖されていたためにだれも通らず、2人はそこで7時間近くも立ち往生した。
やがて救助された2人は病院へ運ばれた。モハメドさんは凍傷で手の指を全て失った。2人ともそれまで、凍傷という言葉の意味さえ知らなかったという。
モハメドさんはガーナで、性的志向を理由に犯罪者のレッテルを張られていたという。米国での生活を夢見ていたが受け入れを拒否され、北へ向かうしかなかった。