拉致被害の女性、回復支援の取り組みに密着 ナイジェリア<下>
またアルハッサン氏は、安全上の懸念から女性たちがグループで出歩くことは禁じているが、チボック出身のある若い女性は今、2週間の休みの間に両親に会いに帰省中だと付け加えた。
「彼女たちはここに軟禁されているわけではない。彼女たちにイースターに帰省したいかどうか尋ねたが(中略)彼女たちはまだ怖がっており、家には帰りたくないと答えた」(アルハッサン氏)
「帰宅は賢明ではない」
ボコ・ハラムに拉致された女性被害者らは、しばしば自分たちのコミュニティから拉致被害者の烙印(らくいん)を押されたり、虐待を受けていることがヒューマン・ライツ・ウォッチなどの人権団体の調査で明らかになっている。親族が、ボコ・ハラムのメンバーの子を身ごもって帰宅した未婚の若い女性を拒絶するケースもよくある。
心理学者のソミアリ・デム氏は、「家族が離れ離れに暮らすのは真の治療を行う上で逆効果だが、ナイジェリアの現在の情勢や状況を考えると、帰宅することが賢明とは思えない」とした上で、「政府は、被害女性たちが安全を確保しつつ、家族と定期的に過ごせる適切なシステムやインフラを構築する必要がある」と指摘する。
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