レバノン首相、突然辞任を表明 「命の危険」理由に
(CNN) レバノンのハリリ首相は4日、訪問先のサウジアラビアで突然辞任を表明し、命を狙われていると感じたことが理由だと語った。
ハリリ氏はサウジの首都リヤドからのテレビ演説で、レバノン国内は現在、2005年に父のハリリ元首相が暗殺された事件の前と似た空気に包まれていると主張。さらに、自身の命を狙う陰謀があることを感じ取ったと述べた。
元首相の暗殺事件をめぐっては、イランの支援を受けるイスラム教シーア派組織ヒズボラのメンバーらが国際特別法廷で裁判にかけられているが、ヒズボラは関与を否定している。
ハリリ氏は演説でさらに、イランはアラブ諸国の内政に干渉して「荒廃と混乱」を招いていると非難。レバノンとその国民は、イランとヒズボラのせいで国際社会から非難され、経済制裁の対象になっていると訴えた。
ヒズボラは米政府がテロ組織に指定する組織だが、その政治部門はレバノンの連立政権で最大の勢力を持ち、複数の閣僚ポストを握っている。
レバノンのアウン大統領は、ハリリ氏から辞任表明の電話を受けたことを認めた。大統領府によれば、アウン氏はハリリ氏の帰国を待って事情を聴く構えだという。
一方、イランの外務省当局者は政府系のファルス通信を通し、ハリリ氏の辞任劇は「米国のトランプ大統領とサウジのサルマン国王」がレバノンや周辺地域の緊張をあおるために画策したとの見方を示した。
専門家によれば、ハリリ氏はレバノン、サウジ両国の市民権を持つ。同氏がサウジで辞任を表明したことからもうかがえる通り、サウジがイランやヒズボラとの対決を目的に、辞任を後押しした可能性もある。