米空母、戦争後初のベトナム寄港へ 中国を牽制か
ベトナム・ダナン(CNN) 米空母「カールビンソン」が5日、ベトナム中部のダナン港に寄港することが4日までにわかった。米空母のベトナムへの立ち寄りは40年以上前に終結したベトナム戦争後、初めて。
今回の寄港は、南シナ海でベトナムと領有権を争う中国をけん制する狙いがあるともみられる。中国は南シナ海の軍事拠点化を図っているとされ、米国は中国の主権を打ち消すため人工島近くなどに艦船や航空機を派遣する作戦を続けている。
寄港は4日間の予定。米国はかつての敵国との親善関係を高める歴史的な好機とも位置付け、相互の将兵による食事会やスポーツ行事などの文化交流を企画している。一部の米乗組員はベトナム戦争時に森林破壊などのために米軍が用いた枯れ葉剤の犠牲者をまつる施設を訪問予定。
米国とベトナムの軍事交流はオバマ米政権が2016年にベトナムへの武器輸出を数十年ぶりに解禁後、強化され続けてきた。昨年11月にはトランプ大統領がアジア諸国歴訪の一環として同国を訪問。今年1月にはマティス米国防長官も訪れ、今回のカールビンソン寄港の道筋を開いた。
米軍の戦闘艦船によるベトナム訪問は2003年のフリゲート艦の寄港から始まり、これまで複数回に達した。ただ、空母の寄港は新たな意味合いを帯びると受け止められ、中国政府が注視するともみられる。
中国外務省の報道官は2日、カールビンソン寄港が地域諸国に懸念を抱かせない建設的な役割を果たすことを期待すると述べた。