空爆で重傷負ったシリア少年、英国で手術へ
ロンドン(CNN) シリア西部ホムス郊外の自宅付近で5年前、空爆に巻き込まれてひん死の重傷を負った少年が、英ロンドンの病院で脊椎(せきつい)再建の大手術を受ける。難民支援の慈善団体がクラウドファンディングで資金を集めた。
ナジブ・アリ君(14)は2013年の空爆以来、歩くことができなくなった。背中を貫通した破片が脊椎に達し、下半身がまひしたためだ。手術を受けなければ腎不全になるとも宣告されている。
当初は即死と診断されたが、母親が「最後に」と足首に触れ、弱々しい脈があることに気付いたという。
一家はその後、シリアからトルコへ逃れ、ナジブ君を治療してくれる専門医を探してギリシャへ渡った。何カ月も待った末にようやく渡英の許可が下り、11月1日に手術を受けることになった。
担当医は手術費を辞退している。手術は曲がった脊椎や骨盤を直し、車いすに座った姿勢を楽にするのが目的だ。腰の感覚や歩行能力を取り戻すことはできない。
術後は15日間の入院を経て、ロンドン北西部のリハビリ施設に2カ月間滞在する予定だという。
脊椎に加えて今後、腎臓と結腸の手術も必要になるため、慈善団体がさらに資金集めを続けている。
ナジブ君は運動が得意で、ギリシャ滞在中には国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が主催するパラリンピック選手の養成コースに参加。昨年ポルトガルで開かれた車いす競技の国際大会で、トラック100Mと200Mの部にも出場した。
治療後はギリシャへ戻ってさらに練習を重ね、パラリンピックに出るのが夢だと話している。