日本近海の漁業資源、地球温暖化で激減 米研究
(CNN) 地球温暖化の影響で世界中の魚類が絶滅の危機にさらされ、中国と日本の近海では漁業資源が最大で35%も減少している――。28日の科学誌サイエンスにそんな研究結果が発表された。
長期的な個体数の減少につながらない持続可能な漁業による漁獲量は、地球温暖化の影響で4%減ったとしている。
米ラトガース大学の研究チームは、世界の漁業と海面温度に関する統計をもとに、1930~2010年の温度変化による持続可能な漁獲量の変動を分析した。
その結果、地球温暖化が世界の漁業資源に重大な影響を及ぼしていることが分かって「愕然とした」という。漁業資源が減れば、世界で何千万人もの生計や食料供給が脅かされないとしている。
特に減少が激しかったのはアジア近海地域で、東シナ海や日本近海の黒潮では、過去80年の間に漁業資源が15~35%減っていた。
「東アジアの生態系は、生産力が激減している。この地域は特に急激な温暖化が進み、歴史的に乱獲が多かった」。カリフォルニア大学サンタバーバラ校のクリス・フリー氏はそう指摘する。
この地域は世界の人口増大を支え、魚介類に対する需要も極めて大きいことから、東アジアの漁業資源縮小は懸念されると同氏は言い添えた。
漁業資源が減り続ければ、東アジア諸国が魚類の輸入量を増やし、価格の高騰を招く恐れもある。
同氏はさらに、乱獲が地球温暖化の影響を加速させていると述べ、乱獲によって魚類の繁殖能力が減退し、温暖化の影響を一層受けやすくなると指摘している。