「心底怖い」 乗員に迫る新型ウイルス感染リスク、クルーズ船乗員が証言
乗員はこれまでに少なくとも5人の感染が確認された。タッカーさんによると、同僚たちは今も相部屋で過ごし、互いに至近距離で勤務し、食事も一緒にしている。誰が感染しているか分からない状態で一緒に仕事を続け、乗客と接しなければならないことに不安を感じるという。
「自分の船室で隔離され、まだ検査さえ受けていない乗員がほかにもたくさんいる」とタッカーさん。「乗員全員に検査を受けさせて、感染者から隔離してほしい。誰がウイルスを持っているのかも、どれほど早く感染が広がるのかも、私たちには分からない」。
それでも会社や当局を批判するつもりはなく、仕事を続けることも構わない。ただ「安全な環境」で働きたいと訴えた。
感染症の専門家からは、日本政府とクルーズ会社が現在取っている検疫態勢に疑問を投げ掛ける声も出ている。米ベイラー医科大学のピーター・ホテス氏は、「感染した患者を安全に下船させる手段があるのなら、なぜほかの人たちを下船させないのか分からない」と語った。
米ハーバード大学のエリック・ルービン氏も、全員を船内にとどめておくことで、乗員が危険にさらされかねないと述べ、「船という閉ざされた環境は、感染症が拡散するためには完璧な場所」と指摘する。
タッカーさんと同僚のもとには、CNNの取材中に検疫担当の医師が訪れ、新型コロナウイルスの検査を行った。結果が出るまでには数日かかる可能性もある。「今でも怖い。陽性にはなりたくない」。タッカーさんの不安は募る。